内容説明
府知事候補の娘樹里が誘拐された。身代金運搬に指名されたのは全く無関係の青年阿月。だが大阪の都市構造を熟知した犯人の誘導で金を奪われ疑いの目は阿月自身に。彼の汚名をすすぐべく乗り出す素人探偵森江だが、捜査の先には戦後の大阪で起きた怪事件の謎が!?過去と現在が交錯する著者屈指の傑作長編。
著者等紹介
芦辺拓[アシベタク]
1958年生まれ。同志社大学法学部卒業。新聞社勤務の傍ら執筆活動に入り、’90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞。’94年より作家専業となる
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感想・レビュー
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セウテス
60
探偵森江春策シリーズ第3弾。大阪で起こった誘拐事件と、昭和20年代の殺人事件のアリバイ崩し密室や死体消失トリックと、現代と過去が交錯する物語り。犯人の要求により身代金の運搬に指名されたのは、全く関係の無い青年だった。この身代金受け渡しは、犯人の計画通り警察は裏をかかれてしまい、その結果青年は犯人の一味と診なされてしまう。誘拐事件はスピーディに読者を引き込み、身代金受け渡しの展開も楽しめる。しかし過去の事件は、読み心地も悪く全体に竜頭蛇尾の感は否めない。詰め込み過ぎ、読者の読み易さは大切な設定だと思います。2016/09/30
ダイ@2019.11.2~一時休止
51
森江春策の事件簿その3。誘拐事件が過去の事件と結びついて・・・。刑事の悪役っぷりには嫌気がさしたがトリックは凄いの一言。2014/08/22
ヨーコ・オクダ
33
森江春策シリーズ。冒頭の死刑執行シーンが印象的。彼はのちに登場する人物のうちの誰なのか?大阪府知事候補の娘が誘拐され、身代金の要求あり→見事に金は犯人側の手に渡り、その運搬役に指名された青年が容疑者として拘束される。前もって相談を受けていた森江が青年の過去を掘り起こしていくと、ある人物の過去との接点が浮かんできて…。レトロな時代の連続殺人事件と現在の誘拐事件を行ったり来たり。国警とか大阪警視庁とかの話が若干ややこしいが、後半いろいろと明らかになってきだすと面白く、スイスイ読める。しかし結構なボリューム!2020/07/04
はらぺこ
30
オモロかった。現在の話と過去の話がええとこで切り替わると読んでるテンションは一気に下がるので続けて読むのはしんどかった。2019/03/17
coco夏ko10角
22
森江春策シリーズ第3弾。新島ともかが登場しないことに途中で気付いてそれで初期作品だとやっと知る。現在の誘拐事件、読みごたえあり面白い。現在と過去の事件そう繋がるのか、と。色々あったわりに最後の解決があっさりしすぎのような気も。2018/02/18