内容説明
ずばぬけた頭脳を持ち、日本陸軍史上最大の知謀と評された石原莞爾。いわく時代を先読みしていた、東条英機を批判したなど、平和主義者のように偶像視され、「石原讃歌」は今なお続く。しかし、この風潮に対して、真っ向からその欺瞞性を批判し、石原の行為は「放火犯の消火作業」と喝破する野心的力作評論。
目次
二人の女性の対照的な石原観
驚くべき写真
青年元帥
分身、花谷正
一九〇四年秋、仙台
予一個ノ責任
渇しても…
短慮な暴れん坊
アラビアのロレンスとの比較
『奉天三十年』〔ほか〕
著者等紹介
佐高信[サタカマコト]
1945年山形県酒田市生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。高校教師、経済誌編集長を経て評論家
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感想・レビュー
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門哉 彗遙
5
「十五年戦争小史」「関東軍」を読んで出来事の羅列が頭に入ってこなく消化不良を解消のために、この本を選んだ。佐高さんを通じて石原莞爾の人物像は頭にしっかりと焼き付いた。佐高さん曰く石原がしてきたことは「放火犯の消火作業」だと。彼の虚飾は悉く剥がされたと思う。さて、次は張学良や井上成美に興味が派生した。この時代はおもろすぎる。2023/08/05
tecchan
2
陸軍史上最大の知謀、軍略の天才、東條英機や占領軍などの権力・権威を容赦無く批判した人物として、今なお一部に伝説化した英雄として持ち上げられている「石原莞爾」将軍を戦争責任者として断罪する。著者いわく「放火犯の消化作業」は言い得て妙。2017/06/16
rogouzin
2
石原莞爾の伝説・神話化された部分を批判的に検証する。テーマは面白いが、批判が感情的な論調が多くみられ、あまりに直接的な罵倒のようなやり口が興を削がされた。 どうして石原莞爾のような人物が国の将来を決定付ける立場についたのか、そして以後伝説化されるに至った背景どうだったのかを冷徹に評するか、『坂の上の雲』で司馬遼太郎さんが乃木伝説を相対化したような物語の中に組み込んで描く方が効果的だったように思う。2015/08/20
Takahiro Kuramoto
1
先日NHKのプロファイラで石原莞爾の特集をやってた。石原莞爾を評価する内容で違和感を感じたので、ふと本棚にあったので読み直した。 佐高さんが指摘するようにやはり満州事変が日本の戦争の拡大の原因である事は変わらないし、ましてや石原莞爾は戦争責任を感じたのか?を考えるとやはり石原莞爾に対しての評価は厳しいものであるべきではないかと思う。 他の石原莞爾に関する本を読んでみようと思う。
hirofumi
1
石原と同郷の著者が「虚飾」を暴く意欲作。 素晴らしいが、石原の悲しさみたいなものも表現してほしかった。2017/01/05
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