内容説明
家族思いの父、美人の母、気のいい姉に囲まれ、だが万穂子は心に鬱屈を抱えて育ってきた。19歳、27歳、32歳、それぞれのラブ・アフェアの中で、彼女は常に誰かの切り札になってしまう。他人を傷つけ、自ら傷つきながらの恋愛に、救いの時は訪れるのか?恋愛小説の名手が描く、個人と家族、愛と孤独の変転の物語。
著者等紹介
藤堂志津子[トウドウシズコ]
北海道札幌市生まれ。藤女子短期大学国文科卒業。コピーライター、広告代理店勤務等を経て作家に。現代女性の心理を巧みに描き、人間関係の深層を鋭くえぐる恋愛小説を書きつづけている。1988年、『マドンナのごとく』で第21回北海道新聞文学賞受賞。’89年、『熟れてゆく夏』で第100回直木賞受賞。’01年、『ソング・オブ・サンデー』で第8回島清恋愛文学賞
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感想・レビュー
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おれんじぺこ♪(16年生)
13
久しぶりの藤堂作品。一人の女性の19歳、27歳、32歳を描いた物語。私のイメージしてる藤堂さんの「透明感ある大人の女性のお話」とはちょっと違う印象だった。万穂子の父とか、納得いかない人も数人でてきたからかな?2012/07/18
あかつや
6
なんか変な小説。主人公の万穂子の19歳27歳32歳、3つの時期の話。いつも私は誰かの恋のジョーカーになってしまうのねん、なんてスカしたこと言ってるが、彼女自分のことを軍師だと思いこんでる一般武将って感じで、光栄の三国志なら知力68くらいかな。きみ軍師に設定できないから治水でっていう。状況を把握しているつもりでその状況を好転させようとして一石を投じるが、その結果全然わかっていなかったことに気付く。でもその失敗があったおかげで32歳時点ではある諦念に達していて、最後はいい雰囲気で終わる。終わりよければだな。2020/01/28
とこっぷり
6
初読作家。こんな家族なのに続いていくことに共感できず読むのに時間がかかった。ただ、家庭環境は子供の一生を左右することは間違いないので、大切に育てようと思わせてくれた作品、だったかなー?2013/11/23
もか*
2
結局、最後まで父親に振り回されただけ。2014/06/05
骨っ子
2
藤堂志津子の小説、主人公の女性が皆「いい女」に見える。そういう風に思わせるような描写が上手い。 母親から愛されて育った姉に対し、複雑だけど全体的には肯定的な思いを持てるのって、その姉が主人公を愛してくれてたからなんだなあ。親との関係が悪くとも、兄弟がそれを緩和してくれるのなら家族は全崩壊しないんだなあと思った。2013/02/06