内容説明
徳川四代将軍家綱時代、江戸で、役人、大工、役者など、若い男十数人が次々と行方をくらます事件が発生。時同じ江戸で、武術で名高い長逆家伝来の朱槍が紛失した。長逆家手裏剣術の継承者で美しき陰間・柳次の身にも危険が迫っていた。事件の影に見え隠れする怪しい人物とは―。手に汗握る長編時代小説。
著者等紹介
多田容子[タダヨウコ]
1971年香川県生まれ。京都大学経済学部に在学中から時代小説を書き始める。’99年、『双眼』(講談社文庫)でデビュー
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
15
売れっ子蔭間・柳次の関わる事件。時代は4代将軍家綱。公儀隠目付逆槍九郎の命を受け、情報探索基地となっている茉屋(まつや)には、限られた人しかお客になれないられん香の柳次という蔭間がいた。られん香とは、火にくべる媚薬で、女の心を乱す。女客の相手をする野郎の柳次に茉屋の経営者兵蔵が冠した名だが、色の道を修業した柳次は闇商いの枕絵に出てくるほどの強者。冒頭早々に柳次が3人の女客の相手をつとめる場面が登場。初は取り澄ました大年増が柳次に触れられるや、途端に崩れていく。指一本で女を遂情に至らしめる術者。2001/05/06
岡本匠
3
この本は、陰間茶屋が舞台となっており、男色、女色様々な形態が描写されている。また、血生臭く、救いが無い小説でもある。しかし、そうした描写に扇情性はほとんど無く、不思議な感じがした。 これは中々凄い小説なのではないか?多田容子、初めて読んだ。他の本も読んでみたくなった。読書メーターの登録数が少ないのが不思議。2003年と出版年次が古いからかな?2015/11/03
銀木犀
1
柳次の生い立ちがあまりストーリーに活きていなかった気がして不完全燃焼。お照とか途中でちらりと出てきたけど、けっきょくなんだかわからなかったし。舞台となった陰間茶屋の話や隠密の話は面白かった。慈光院が結婚相手を決めた理由とか、結婚前はワルだったとか、そのへんのつじつまも謎。なんかいろいろな設定がもったいない小説。2011/06/17
よう
0
う、ううん・・・柳次の虚無いキャラのせいか、隠密宿、手裏剣の相伝、実の父母、といろいろ設定盛りすぎな割に生きていない気が。シリーズものの一作目、というならまだわかるけど、ラストからしてそんな感じでもないしなぁ。。2013/01/27
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