講談社文庫
ローズガーデン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 279p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062737692
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

営業マンとしてジャカルタに赴任して二年。博夫はミロから逃げようとし、しかしむしろ深く填まり込んでいく自分を感じていた。すべては高校二年のあの日、庭に薔薇が咲き乱れる家のベッドでともに過ごした時から始まったのだ。そこは彼女が義父と淫らなゲームに興じた場所。濃密なミロの世界を描く短篇集。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年生まれ。’93年、『顔に降りかかる雨』で、第39回江戸川乱歩賞を受賞。’97年発表の『OUT』(講談社)は「このミステリーがすごい!」の年間アンケートで国内第1位に選ばれ、翌年同作で日本推理作家協会賞を受賞。’99年『柔らかな頬』(講談社)で、第121回直木賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

350
ミロを主人公にした連作短篇4つを収録。第1作目の「ローズガーデン」では、ミロはまだ高校生だが既に謎めいた魅力を存分に振りまいている。ただ、読者が男性の場合はいいが、女性からはあまり支持されないのではないかと一抹の危惧を抱く。一方、博夫との結婚はどの読者にとっても不可解さが残るように思われる。これに続く3篇のいずれもエンターテインメント性には富んでいるが、他の桐野夏生作品に比べると軽い印象を免れない。残念ながらここには彼女に独特の危機感とやるせない緊迫感とが欠如しているのだ。こちらを推すファンもいそうだが。2018/04/09

おしゃべりメガネ

155
女性探偵「ミロ」シリーズの3作目は短編集です。といっても1話目は「ミロ」のご主人「博夫」の話で、高校時代に「ミロ」と出会った頃の話が書かれています。他の3編は時系列そのままの流れで「ミロ」が引き続き、探偵を頑張っている姿が書かれています。頼れる隣人「トモさん」もしっかり登場し、相変わらず二人の間の奇妙な友情が感じられます。女性探偵であって、鼻っ柱のなかなかタフなキャラはますますしっかりと確立してきていて、今後もぜひ変わらぬスタイルを貫き通してほしいですね。今回は艶っぽい?話はあまり出てきませんでした。2018/12/16

ケイ

104
桐野夏生を読むきっかけにも、しばらく読まなくなったきっかけにもなったのがミロシリーズ。こちらはその短編集。ミロの高校時代は、大人になってから知った友人の見てはいけない過去を覗いた気分。『独りにしないで』は、女の気持ちがよくわかる。私なら、きっとそんなにすぐに楽にはしてあげない。「一人に」ではなく、「独りに」と書くところに女の哀しさをみる。久しぶりにミロを見て、まわりにいるのが男でない男たちでも、自分の女の部分を殊更に意識している女だと思った。2015/04/26

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

99
多彩な作品群を発表していますが、桐野夏生さんの真骨頂はハードボイルドにあると思っています。新宿・歌舞伎町をホームグラウンドにする女探偵・村野ミロを主人公とするシリーズ3作めで初の短編集。表題作は、ミロの夫・博夫の視点で描かれる異色作。高校2年の時、博夫は「義父と寝ている」と語るミロに出会い、彼女の妖しい魅力に取り込まれていきます。バラが咲き乱れる庭のある家で繰り広げられる甘美で背徳的な三角関係の末、二人を待っていた運命は……。他3作は、舞台を歌舞伎町に戻し、夜の住人たちの事件の真相を追う姿が描かれます。2014/11/22

優希

96
面白かったです。ミロの短編集。濃密な一面が伺えました。二丁目とジャカルタが結びつき描かれる世界は馴染みのない裏の世界。だからこそ引き込まれるように読んでしまうのですね。心の闇を覗いているような感覚に陥ります。最後の短編を読み終えたとき、何とも言えない香りが漂っているような感じがしました。2017/11/19

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