内容説明
病を癒す力を持つ「奇跡の泉」があるという亀恩洞は、別名を〈鬼隠れの穴〉といい、高賀童子という牛鬼が棲むと伝えられていた。運命の夜、その鍾乳洞前で発見された無惨な遺体は、やがて起こる惨劇の始まりに過ぎなかった。古今東西の物語の意匠と作家へのオマージュが散りばめられた、精密で豊潤な傑作推理小説。
著者等紹介
殊能将之[シュノウマサユキ]
1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、「ハサミ男」で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サム・ミイラ
115
最後のほうはダ・ヴィンチ・コードみたいになりました。2016/12/29
のり
110
一見怪しげな男「石動」から、奇跡の泉がある亀恩洞の取材依頼が「天瀬」達に舞い込む。胡散臭く思いながらも現地に飛ぶが、地主の取材拒否で封鎖されていた。その矢先に地主の「羅堂」家の人達が次々と悲惨な死を遂げ発見される。亀恩洞に纏わる呪いか?羅堂家への怨恨か?遺産問題か?奇跡の泉にすがる村民外の中にも怪しげな人達が…羅堂家の血を濃く受け継いだ「窓音」の態度も不穏。正に大作。大満足だった。2019/02/15
nobby
98
750頁に圧倒させられるが、不思議と一気に読めてしまう。『ハサミ男』の衝撃はないものの、プロローグで犯人の名前や被害者が明かされるのは斬新。伏線・見立て・謎歌やら盛りだくさんな本格ミステリーが楽しめる。そして、とにかく“牛”な引用は圧巻!ミノタウロスからの洒落ではとても収まらない(笑)最後まで読んで石動シリーズ第一作と知り、楽しみが増えた感じ。2014/08/07
kk
87
それなりに分量があって、しかもお世辞にも爽やかとは言えない物語だけど、けっこう読まされてしまいました。いろいろ考えて仕込んである感じが良かったです。窓音ちゃんのキャラも面白いね。「あの二人」には、これからどんな未来が待ち構えているのか、何だかすごく気になっちゃいますね。2019/06/11
aquamarine
85
黒い仏を読み、共通する石動探偵を見ても美濃牛がただひたすら長かったけどよくできた話だった、としか思い出せなかったので再読してみました。初読当時は横溝作品も乱歩作品も読んでいなかったのですが今回はその知識がある分、辺境の村の謎の洞窟というだけで心躍りました。初読の感想はどこへやら、今回はただただ楽しんで次々ページをめくりどっぷり770ページに浸かりました。黒い仏での驚愕の片鱗はこちらでもすでにありますね。順番に読まない楽しさも味わえました。2016/03/21