内容説明
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化。
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て1997年『ウランバーナの森』(講談社文庫)でデビュー。第2作目『最悪』が話題となりロングセラーに。『邪魔』(講談社)で第4回大薮春彦賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
432
読ませますねぇ、奥田先生!出てくる人物が全くのどいつもこいつもで、king of kingならぬunhappy of unhappyの王座決定戦。読み進めるにつれて先が読めてしまい、且つ案の定の展開に読者として気持ちは沈むのですがなぜか読むことを止められません。 「いやなことがあるというのは、人生の真っただ中にいるという証拠だ(p235)」は印象に残りました。2016/05/14
遥かなる想い
395
2000年このミス国内第七位。 3人の悲惨な人生がさりとて暗くなく楽に読める。軽快なテンポはよいが、どきどきする展開ではない。2010/06/20
stobe1904
338
【クライムノベルの傑作】不況にあえぐ鉄工所社長の川谷、家庭環境とセクハラに悩む銀行員のみどり、そしてヤクザに追われる和也がふとしたきっかけで人生が暗転し始める…。何の接点もない3人の人生が、加速度をつけながら負のサイクルに人生が転がるさまは圧巻の一言。読み応え十分な反面、読むためのパワーが必要だが、結末の最悪からの再生が読後感の良さを与えてくれる素晴らしい作品。★★★★★2022/10/15
イアン
253
★★★★★★★★☆☆負のスパイラルがエグい奥田英朗の長編群像劇。取引先や近隣住民からの理不尽な要求に苦しむ町工場社長・川谷、セクハラに悩む銀行員・みどり、ヤクザに追われる不良・和也。袋小路に追い詰められた交わるはずのない3人の人生が〝最悪〟の地点で交錯した時、事態は思わぬ方向へと動き出す。初読は学生の頃だったけど、社会人となった今読むと川谷の心情に激しく同化させられる。高さ1.5mのアンダーパスの伏線にもニヤリ。抜群のリーダビリティだったけど、解説で「惨憺たる出来」とまで酷評されたドラマも少し観てみたい。2021/11/05
ダイ@2019.11.2~一時休止
243
3人の主人公たちがどんどん最悪な人生に転がっていく。読んでいるときの気分は最悪でも最後にチョッピリ持ち直したかな?2016/04/27