内容説明
前世から契りあった恋人はあなたですか?今度こそ永遠に契りあうために、あなたはそこで待っていてくれたのですか?那智と理緒。傷つくことにすら無器用な二人が出会ったとき、魂がふるえ、存在の根源をゆさぶる至高の恋が燃えあがる。同性同士の愛の極北を描く、山本周五郎賞受賞作家による傑作長篇。
著者等紹介
中山可穂[ナカヤマカホ]
1960年名古屋生まれ。早稲田大学教育学部英文科卒。劇団を主宰し、演劇活動ののち、1993年『猫背の王子』で小説家デビュー。’95年『天使の骨』で朝日新人文学賞を、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞
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感想・レビュー
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chimako
87
人を愛するのに男も女もなく、好きになった人がたまたま女だったり男だったりするだけ。体が求めるものはその時々で変化する。女同士も男同士も女と男も、同じ海の中。だが、水温と潮流が違うとどうにも違和感が付きまとう。理緒の水域に必然的に流れ着いた那智はその心地よさに陶然する。ここが居場所だったと確信する。もう一人小さくて大切な女の子を乗せて、今 二人で漕ぎ出す。女同士だから荒波を漕ぐのにも思った以上に力が要る。それでも漕ぐ。もう怖いものはない。2019/01/28
はらぺこ
45
第三章なんか読んだら益々結婚って鬱陶しいモンにしか思えんねんなぁ・・・。ウンザリやわ。以上、結婚出来ない男の言い訳でした。 前世がどうこうって事やなくてお互いが同性愛者やって見抜いただけとチャウんかなぁ?しかもお互いに好みのタイプやったって感じで。 那智か理緒のどっちかが男やったら普通の不倫の話やし。 2011/06/23
絹恵
36
恋や愛、それだけでは渡れない橋に何度でも出会います。でもどれだけ遠まわりしても心はいつも同じところへ向かい、およそ現在地に意味などなくなりました。あなたの優しくて美しい言葉だけでは埋まらない時がくるかもしれないという不安が胸を痛くしても、それが愛でした。愛は愛を想う人たちを繋ぐために架かればいい。それだけでいい。それだけがいい。2014/04/11
優希
33
究極の恋愛小説と言うのに相応しいですね。別々の道を歩んできた那智と理緒が出会い、運命的な恋に落ちるのですが、この2人の人生や感情を濃密に描いていると思います。傷つくことにも不器用な2人は出会ったとたん魂が震えるような感覚がしたというのだから凄いですよね。まさに運命の恋であり、どんどん燃え上がり、止められない極限的な愛。理緒と那智の互いを想う気持ちだけでなく、夫婦間などの家族問題もしっかりとらえているのがいいですよね。結ばれない那智と理緒だけれど、離れていても2人は永遠に恋人だと信じてます。 2014/03/27
ちょこまーぶる
27
中山可穂さんの作品は、初めて読みました。女性の感情に美意識を感じました。2012/03/04
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