内容説明
靖康の変の折、北へ連れ去られた宋の皇族の一人、柔福帝姫を名乗る美女が都へ現れた。北遷されたときの年齢は十歳を少し出たばかり。十年の時を経て面影は残るが確証がない。見極めの決め手となったのは…。表題作「公主帰還」はじめ、宋代の中国を舞台に描く、読む楽しみ溢れた短篇小説の佳作七編を収録。
著者等紹介
井上祐美子[イノウエユミコ]
1958年兵庫県姫路市生まれ。神戸大学教育学部卒
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感想・レビュー
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Quijimna
9
梁山泊が暴れた宋の時代。北の異民族によって国家がガタガタだったというが、その実相に触れられる一冊。中島敦ほどの上品さはないが、手軽に読める。★★★☆☆2015/09/10
一柳すず子
2
中国の歴史物7編。金に連れ去られた皇族が帰還したが、幼い頃に連れ去られたので顔が分からないという表題作。物凄い人数が連れ去られたのが凄い。その他、政治とか社会に翻弄されながらも生きる人々の話。面白かったです。2016/07/18
祥子
2
「芙蓉怨」、夫人の誇りと、誇りを踏みにじられての生を天秤に掛けて誇りをとったあの決断がいい。二人が直接語らったその回数こそ少ないが、その短い時間のなかで確かに通じるものがあったのだろうな、と思わせる名作だと思う。2009/07/06
オイコラ
1
再読。軽く読めるがどれも宋のなかなかに大変な時代を背景にしてしっかりと面白い。前に読んだときは時代背景がよくわからなくて特に表題作や「僭称」がぴんとこなかったけど、知って読むとやはり違うなあ。2015/01/10
桃水
1
2010/04/08:最初の「潔癖」は少し前に読んだ『新・異色時代短篇傑作大全』にも収録されていました。2010/04/08