内容説明
沖縄の孤島、黒潮洗う白い崖で何が起きたのか。米軍艦船への体当たりに失敗した若き特攻隊員は、不時着後、過酷な運命に翻弄される。迫る米軍の上陸、自決か捕虜か。あの遠い夏の日の“愛と死のドラマ”が甦える。戦後半世紀、秘めてきた苦悩の足跡を追う、『月光の夏』につづく感動ノベル。
著者等紹介
毛利恒之[モウリツネユキ]
作家。1933年福岡県生まれ。熊本大学法文学部卒。NHKライターを経て、フリー。1964年、脚本『十八年目の召集』で第1回久保田万太郎賞を受賞。ドラマ、ドキュメンタリー、小説など、戦争と戦後問題をテーマとする作品が多い。小説『月光の夏』(汐文社・講談社文庫)は自らの企画、脚本で映画化し、映画(神山征二郎監督・仕事)は200万人を動員するヒット作となった。オーディオドラマ『ヒロシマの黒い十字架』(中国放送)は2000年度文化庁芸術祭大賞ほかを受賞
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感想・レビュー
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かおりんご
42
小説。生き残りの特攻隊員の話。「月光の夏」は、エンジントラブル等で出撃できなかった元特攻隊員の苦悩を描いたものだったけれど、こちらは捕虜になってしまった隊員の話。フィクションではあるけれど、元になる話があるので、かなり心が揺さぶられます。思わず一気読み。引き続き、「青天の星」に入ります。2015/05/08
遅筆堂
21
いかにも現在81歳の作家が書いた仰々しい文章。『月光の夏』から読むつもりであったのだが、こちらから読んじゃった。『永遠の0』とは違う視点であるが、小説であるとはいえ特攻の悲劇を伝える物語として貴重。戦闘機は隼、零戦よりもスマートな躯体ですね。2014/01/04
馨
5
泣けました。悪は戦争で、戦争が人を変えてしまう。悪人はいません。牛島曹長は家族を失い変わってしまった人間味のある男だったと思います。国や家族を思う純粋な兵士で私は1番好きな人物でした。当時米軍の艦隊が押し寄せ真っ黒になり、特攻隊員の血で真っ赤に染まった悲しい歴史を沢山刻んだ美しい沖縄の海の見方が変わりそうです。戦争の本を沢山読んだと思っていましたが改めて元兵士の方には1歩も近づけていないし戦争のせの字も、特攻隊員の足元にも及ばず浅はかな平和主義がいまだ抜け切れていないことを実感しました。2014/02/11
とむ
4
生きることとは、人とつながっていること、そして、大いなるものとつながっていることに他ならないのだろう。2015/08/29
Hisako Ozeki
4
ダイビングでも有名な粟国島がモデルになっているそうです。 いつか、行って見てみたい「白いタギラ」 そしてこの海に潜ってみたいな。2014/03/04