内容説明
仕掛けはさせないという約束で大坂の大元締・白子屋菊右衛門に預けられた剣客・小杉十五郎。しかし、白子屋は小杉十五郎に仕掛けを頼み、梅安と対立する。白子屋は梅安を恨み、手下に殺すことを命じた。覚悟を決めた梅安は彦次郎、十五郎らと捨て身で立ち向かう。暗黒世界の非情と男の友情を描く傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
144
この巻は、大坂の裏の世界の大立者白子屋はメンツのために、梅安は過去のしがらみから友人を救い出すためにそれぞれ相手を倒そうとします。両者ともに江戸と大坂に向かうのですが、途中で梅安が江戸へ戻り最後は旅の途中で病から救った敵の若い侍に助けられ決着をつけます。フランスの映画のフィルム・ノワールを見ているようでした。2017/07/14
KAZOO
94
シリーズ5冊目は、短編と長編が1作づつ収められています。短編は梅安の恩師が亡くなる原因を作った人物を見かけて追い続けますが、梅安が手を下すこともなく殺されてしまいます。長編の方は大阪の元締めがいうことを聞かなくなった梅安を殺そうとしてかなりの仕掛人を送り込んできますが、梅安、彦次郎、小杉十五郎の三人で逆に元締めを亡き者にします。作者は面白くしようとしたのでしょうが、元締めがこのようなことをたくらむのでしょうか?2023/12/11
優希
55
短編1編と長編になります。白子屋菊右衛門と梅安の対決でした。白子屋は梅安を恨み、梅安殺害を部下に頼むことから恐怖もあったのでしょう。梅安も覚悟を決め、捨身で立ち向かうのが格好良いです。非情と友情のハードボイルドですね。2023/04/26
くろにゃんこ
44
梅安が仕掛けをしない一冊。しつこい白子屋は変わらず梅安を狙うが、狙われてもいるというなんとも落ち着かない展開。腹痛を診てもらった恩を返すべく仕掛けの標的である梅安を何度も助け、正体不明のまま命を落とす田島が何とも不憫だった。2023/06/13
Makoto Yamamoto
42
前回に続いて大坂の香具師の元締め・白子屋菊枝門との確執が続く。 今回は白子屋が派遣する殺し屋の手ごわい侍が二人登場。 従来と違って、梅安、十五郎、彦次郎に加えて刺客の若い方・田島一之介が重要な役割を担う。音羽屋も加わって、なんと面白い組み立てなんだろうかと感心。 その中で、梅安の仕掛け人としての苦悩も滲む深さがある。 さすが著者。2022/02/27