内容説明
窮乏の農村とモダン東京の激しい落差の中、日本は満蒙を生命線とする中国大陸での権益を確保する。日中戦争を聖戦とした陸軍中堅層、革新官僚や経済テクノクラートの野望とは?挙国一致内閣、翼賛体制に至る非常時の政治抗争と世相を描出。日米開戦までの秘史、総力戦の諸相と「共栄圏」の実態、反東条運動と敗戦までの国民各層の動向を、最新成果で明らかに。
目次
プロローグ 過去は外国である
第1章 普通選挙と政党内閣
第2章 ワシントン体制の変容と日本
第3章 「挙国一致」内閣の時代
第4章 「非常時」の表と裏
第5章 革新の光明?
第6章 総力戦の諸相
終章 「戦時」とモダニティ
著者等紹介
有馬学[アリママナブ]
1945年生まれ。東京大学文学部卒業。現在、九州大学大学院比較社会文化研究院教授。専攻は日本近代史
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感想・レビュー
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かんがく
8
とりあえず自分の一番興味ある分野から読んだが、読みやすく、扱う範囲も広く深いので良いシリーズ。他の巻も読んでみたいと思う。昭和初期における共産主義・社会主義の影響力は極めて大きいなと改めて確認。対中国政策においても、反共がキーワードとなり、陸軍の国家改造運動や近衛の新体制運動も社会主義と切って語ることは出来ない。近衛~東条期における思想対立を、観念右翼(平沼・皇道派など)と革新右翼(近衛・社会大衆党など)とした点は、今まで学んできた内容を整理できてよかった。2018/09/23
R
0
みんなが最悪の事態を回避しようとして、結果的に最悪の事態になっちまったという失態。痛みをその肌で感じた方々が生きているうちに、このことをきちんと受け止めないと。2011/09/09
ねすとる
0
ホントは6月読了分。過去は外国であるという序文には非常に納得する。こうした遠近感を習得する為にも歴史を学ぶ価値があると思う。日米開戦〜終結までを天皇、宮中、内閣といった為政者視点からだけでなく、市井の職工や婦人、左翼やインテリ層などの思想的転換と絡めて描く。こういう切り口は本物の研究書でなくては描けない。人文系史学者のボクらのこと、小難しくて実益の無いことばかりやってる連中だと思うでしょ?戦争をしてはならないと主張するとき、そこに歴史学が必要なんよ。2024/06/30
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