内容説明
武士文化が花開いた江戸に生きた男たち。その性愛のかたちが多彩であったことは多数の春画や文献によってよく知られている。そのおおらかさをうらやむ現代人も多いはずだ。だが、その多彩さを生んだのは「天下泰平」だけでなく、貧しさや武士社会の理不尽なモラルといった「死ととなりあわせの生」でもあった。いつ死んでもおかしくない、だからこそ切実に追い求めた「性の快楽」。春情の目覚めから老いらくの恋まで、「人間らしい生きざま」を江戸の男たちに探る。
目次
プロローグ 極楽と地獄
第1章 六歳の春
第2章 お尻にご用心
第3章 あぶない少年時代
第4章 暮らしの中の猥談と春画
第5章 恋する人妻たち
第6章 洗う女
第7章 男の操
第8章 誰よりも君を愛す
エピローグ 老いても愛して
著者等紹介
氏家幹人[ウジイエミキト]
1954年福島県に生まれる。東京教育大学文学部卒業。日本近世史を専攻
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感想・レビュー
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getsuki
6
江戸時代の同性愛の奥深さはそれなりに知っていたが、史料を見てみると想像以上にすごかった……養子に自分の寵臣の行く末を託すとかどんだけ執着してたのさ(笑)男性の性の目覚めのエピソードも驚きの連続で、面白い。2016/02/21
海
1
面白かった。男性同士の同性愛についてかなりページを割いていて、その描写が史料を引用していたりしてとにかく細かい。元藩主がいまわの際に自分の愛した側近(もちろん男)の自分が死んだあとの身の振り方に対してしっかり決めておくあたりは脚色してマンガや小説にしたらその筋の人達に受けるのではないかと思った。2011/10/27
呉
1
武士道と少年愛の関係はある程度認識していましたが、性同一性障害(乃至性転換)についての記述の多さも印象深いです。男側の性の目覚めに「乳母」が深く関わっているという点は、現在では既に失われたヰタ・セクスアリスとして前時代の性を考える点で重要かも、と思えました。2011/09/10
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