内容説明
だれかがよんでいる!なにかがまっている!世界じゅうの怪談・奇談。小学中級から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
111
青い鳥文庫Kシリーズ第5作。表題作はディケンズの『信号手』のことで、構図の不明瞭さが怪談の世界へ誘う。その後は中国ものが続き、蒲松齢の『きくの精のきょうだい』なんかは幻夢的でロマンチック。『吸血鬼の恋人』はいかにもゴーチェらしい美的感覚が横溢した、退廃的でエキゾチックな女吸血鬼もの。尺も長めで本書で最も存在感がある。ジェイコブズ『幽霊屋敷探検』は文字通り、最も王道的なタイプの怪談。アンドレーエフ『不死の男ラザロ』はキリストの恩寵で生き返ったラザロが生きる屍と化した戦慄の後日譚。死を具象化するスキルが卓越。2022/08/30
藤月はな(灯れ松明の火)
44
国書刊行会のボルヘスの図書館シリーズで読んだこともある「不死の男、ラザロ」はやはり、再読しても遣る瀬無さでいっぱいになります。生きるものには必ず、死がある。同時に死という対照があるからこそ、生は強く、意識されるのだ。しかし、ラザロは生きながらも永遠の死を知らしめるというパラドックスの強化の対象となってしまったことで人々から忌み嫌われるしかなくなってしまった。ラザロだってキリストの父なる神の力によって生き返りさえしなければ、土に還り、その土は草木を育みなどの生の循環に組み込むことができた筈なのに・・・。2015/04/10
おぎゃ
2
ゴーチェ「吸血鬼の恋人」が良い。2017/10/02
ウタマキ・コウ
2
表題作の「魔のトンネル」はご存知ディケンズの「信号手」ですね。定番です。その他もいろいろあって面白いです。2014/06/27
ワタナベ読書愛
1
1996年刊行。絵:村田収。文豪や説話などから選りすぐりの怪談7話を収録。全部個性的でどれも印象深い。個人的にはキリストの奇跡の後日談「不死の男ラザロ」レオニード・アンドレーフ、事故物件系の「幽霊屋敷探検」w=w=ジェイコブズ。人間の心の機微や、愚かさ、恐怖などの心理描写が実に生き生きとしている。中国の不思議な話も捨てがたく、殆どドタバタ喜劇の「鬼にもらったおみやげ」瞿佑 、美しさと愚かさが入り混じる「菊の精のきょうだい」蒲 松齢。この1冊で好きな作家が増えた。どんどん読みたい作品が増えるぞ2022/09/04