内容説明
論争的で反哲学的な科学認識論者にして火や水から湧き出る詩的想像力の発見者。フランス現代思想を先導した―不思議な巨人。
目次
序章 ジャムとベンゼン
第1章 近似的構成と工学の哲学
第2章 激震する物理学に向けて
第3章 化学的世界の整列
第4章 瞬間と非連続性
第5章 知の奇形学
第6章 詩と物質
第7章 元素の詩学
第8章 最後の科学哲学
第9章 残映と終末
第10章 忘却の根拠
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
17
「私は勉強する。『私』は勉強するという動詞の主語にすぎない」と、死を一年後にひかえた80歳のバシュラールは書いた。あまりにも魅力的な人だ。そして、僕が持っている「読み」をまるっきり転回させられてしまった。副題に「科学と詩」とあるように、本来相容れない科学哲学と詩論の双方を展開したバシュラール…なんだろうなぁ、オカルトでもなんでもないんだけど、人間の中にある宇宙っていうのは凄まじいなぁと、ただただ溜め息をつくばかり。概説書でこれだから、原著読んだら呼吸困難になってしまう気がする。2014/11/25
フリウリ
11
以前に読んでナンノコッチャとなったバシュラールへの再接近を目論む。バシュラールの全体像を明確に示してくれていて、たいへん参考になる。また、バシュラール特有の科学哲学と詩論の複雑な絡まり具合も、丁寧に解きほぐされている。個人的には、「物質的想像力」の概念、つまり、人間は物質に想像力を働かせるが、その想像性は無際限ではなく、物質が有する一定の制約に基づく、という一種の唯物論がとてもおもしろく、共感できるところがあります。「水と夢」が要約された数ページは、本当にすばらしいです。読むならこの線、と思いました。92025/02/25
井の中の蛙
9
バシュラールに興味を持っていたが、少し期待外れだった。もちろん、詩論に関する著作は面白そうだし周期表をめぐる哲学的意味の当時の議論は面白く読めたが。著者のバシュラールが忘却されていることに対する評価に概ね同意した。「…科学からロマン主義的色彩が徐々に退行していくという事態は、彼のような科学論には結局マイナスに働いたのである。」(p278)2024/10/07
Shin
9
科学哲学者にして豊穣な詩論をものする不思議な知識人バシュラール。例えば寺田寅彦のように、優れた科学者のまなざしの中に、万物に対する視線の優美さを見出すことはあるが、物質そのものの中に漲るエネルギー、生命力のようなものに内在的に同化して詩性を見出す科学者は稀であると思う。科学も工学も極度に細分化されてやせ細ってしまった現代において、未だ物質と人間の感性とが未分化であった時代のロマンを感じさせるバシュラールの矛盾に満ちた思索の旅。自分が歳を重ねたとき、蝋燭の消えゆくことを感じながら彼の詩論を読んでみたい。2012/07/08
Bevel
7
数学がもつ一般化の能力によって科学は成立している。数学的存在は、超越数の近似計算の歴史などを扱うために、「操作的に客観化される限りにおいて存在するものとみなされる」(反実在論)。物理的存在は、数学的関係として表現される。理論からより一般的な理論を「帰納」することで、理論の包摂を認める。実在のうちにすでに存在する秩序を発見する化学。瞬間と否定に基礎づけられた持続という観点。詩については、性や元型の代わりに、元素を置いて、連想したり説明したりという感じに見えた。2014/12/16
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