内容説明
折にふれて立ちあらわれる祖父露伴の面影、母文の声音に導かれながら、変貌する風景、移ろいゆく季節を静かに刻みつけていく。悔いを残す花見の想い出、夏の昼下がりの「すったて」の味、雨の日に訪れた動物園での邂逅。身辺のささやかな思いを豊かな感性と美しい言葉で優しく拾い上げた珠玉のエッセイ。
目次
目に残る花
おかしな花見
流れの先
2つのお釜
風
はて、これは
そら豆
丈たかき花
雨の動物園
蝶の初飛行〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
3
著者が、祖父や母の思い出話以外の事を文章にしようとした初期の作品なのだろうか、読みづらいように思われる箇所もあるものの、全体に漂う少しとぼけたような感じが好ましい。岡倉家から伝わったナスの茶せん煮は、次に岡倉家ゆかりの人と出会った時に話してみようと思うとともに、この夏にためしてみようと思った。2015/05/04
ぴちゃん
1
このくらい軽快な文章が書けたら楽しいだろうなと思う。 いまと違う時代の様子が垣間見えて楽しい。少し前の時代の丁寧そうな生活憧れる。2025/06/26
bunca
0
上品な文章の中にもユーモラスな描写があって、血筋を感じさせられます。猫の話とクワイの話が好きです。2018/03/31