内容説明
「己が時を汚すことなく生きていきたい」。左大臣家に生まれながら、心ならずも政敵藤原道長へ嫁いだ美貌の女、明子。優しく儚げながら、凛乎たる心を持つ彼女こそ、権勢を恣にした道長が愛を得ることに苦悩した唯一の女だった。正妻倫子とともに“二人妻”として記憶される明子の生涯を綴る絢爛たる歴史絵巻。
感想・レビュー
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エドワード
16
平安時代中期。藤原道長には二人の妻がいた。その一人、左大臣源高明の娘・明子は、父を追い落とした藤原兼家の五男、道長に強く迫られて妻になる。もう一人の妻・倫子が出世に貪欲な道長を受け入れているのに対し、明子は批判的だ。愛していないとさえ思う。この後「この世をば」の歌のとおり天下を得る道長。明子の視点で描かれる道長は、ころころと態度が変わり、娘を出世の手段と豪語して恥じぬ策士だが、どこか人間くさく憎めない。帝に嫁ぐ娘たちは一様に短命だ。最後は残るのは二人の妻。華やかな王朝絵巻にも常に諸行無常の響きあり、だ。2015/11/28
紅雨
0
おもしろかった。ただ妙に厭世的というのか現代的というか、平安時代のお姫様にしては自立心が旺盛すぎるような。いやまあ、男に負けないタイプの女性もいたんだろうけど、ちょっとありがちな展開という気もして。2017/04/05