出版社内容情報
渡辺 淳一[ワタナベ ジュンイチ]
著・文・その他
内容説明
美しい季節の移ろいの中で激しい愛の炎を燃やす凛子と久木。人間の中に潜む底深い性の悦びと妖しさに気づき驚き、周囲から孤立しながらも、永遠に自分の中に相手をとどめておきたいと願う。性愛の極致を描いた男女小説の名作。新聞連載時から圧倒的な反響を巻き起こした注目の大ベストセラーが遂に文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
109
正直、後半はいささか食傷気味になりちょっと流し読みモードに。前半は二人の燃え上がる情念にとにかく夢中にページを捲りましたが、後半はただただ堕ちていくだけの流れに読み続けるのが、ちょっとしんどくなりました。男性と女性の描写が対照的で、不安と憤りを隠せない男性側のキモチはわかりつつもありながら、なんだかやるせない思いがよぎりました。女性側はいざとなったら肝がすわっていて、度胸、決断含めて潔いなと。本作を読み終えて、最終的にこんなにも性描写が必要だったのか、作品として少し疑問が残り、読後感は良くはないですね。2021/08/01
じいじ
69
この小説は、久木と凛子の主人公の二人だけが、相思相愛で不倫の恋に激しく燃え上がっているが、双方の連れ合い家族は冷静沈着です。二人の関係が露呈して「おまえを憎んでいるけど、別れてやらないよ」と凛子の夫。久木の妻からは「この離婚届にサインをください…」といわれて、まさかと思っていた久木は別れ話に狼狽えてしまう。…わたしは波瀾万丈の下巻の方が面白かった。願わくば、もう少し体力のある10余年前に読みたかった。2024/09/29
しょーくん@本棚再編中
50
★★★★★★☆☆☆☆異常なまでに身勝手で壮絶に、純愛・性愛を貫いた久木と凜子。さすがに共感はできませんね。濃厚な性描写でしたが、そこはかとない上品さも漂う感じで、読みやすかったです。2015/08/01
かんちゃん
10
渡辺淳一はあまりに性行為にとらわれ過ぎている。本作のヒットによって、その後の著者はあたかも愛欲の権威者のような言動が目立つようになるが、あまりに一面的な捉え方だと言わざるをえない。性行為が愛情表現の形態の一つであることは否定しないまでも、それが全てであるかのような表現には違和感がある。背徳的行為によって既存の絆を失い、孤立化することによって、かえって愛人への依存度を高めていく。それを愛情と錯覚し、果たして破滅へと向かっていく。そんな生き方を礼賛する気は全く起きないし、納得も共感もできない。2015/01/23
イタリアンでこちん
6
恋がしたいフェス『不倫』編18+1/2:ああ~とうとうやっちゃいましたね。単純にエンターテイメントとしてそのままに素直に楽しみましょう。あまり考えない方が良い様です。ああ、面白かった。でいいんじゃないでしょうか。だって遣ってる事と言えば、旅行に行って性交する。でまた逢いたくなる。旅行に行って性交するの繰り返しでしょ。中途半端リーマンおやじの夢なんだなぁと思えばそれなりに、はい。でも社会現象までのブームだった。と言うからにはそれなりのモノがある作品なのだろうな 続2009/11/19