内容説明
一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サム・ミイラ
194
初真保裕一。この厚さでしかも上下巻!最後まで辿り着けるか心配でしたが全くの杞憂でした。これは予想を上回る面白さ。のめり込んで読めました。パソコンや機械の知識で自販機詐欺など小銭を稼ぎ生活していた言わば社会の枠から外れた青年が、やくざからの借金で窮地に陥った友を救うため贋札の製作に挑む物語ですがいや作者の知識がほんと半端ない。少しの期間印刷会社に勤めていた私もびっくりの情報量。この作者一体何者?謎のじじいの登場で俄然物語は熱を帯び大興奮の急展開!一気に下巻に突入!2015/04/06
ゴンゾウ@新潮部
128
真保さんの傑作「奪取」を10数年ぶりに再読。専門用語が多いので取っ付きにくさがあるのは否めないが、物語の構成が素晴らしいので一気読みできる。早速下巻へ突入します。2015/04/06
じいじ
125
真保裕一の『ホワイトアウト』に代表されるシリアスな緊張感、本作は思わず笑みがこぼれるコミカル性も加わったサスペンス長編。上巻は、主人公の青年二人が製造した贋札を銀行ATMの真札との交換に挑む大胆不敵な痛快劇。警察からは不埒千万とお叱りを受けそうだが、二人の悪行が無事成功することを祈りながら読み進めた。予測不能なストーリ展開、このワクワク感がたまらなく心地いいです。このまま一気に下巻に…。2017/05/18
みも
116
軽妙でコミカル且つスリリング。こういう作品は多少の疑問には目をつぶり、展開の妙技を楽しむのか賢明な読み方。この筆致なら誰も死なないだろうと安心して読める気楽さが良い。偽札造りに絡んでやくざとの駆け引きが繰り広げられる。主人公の若者の一人称で語られるが、若者らしい怖いもの知らず感が痛快で、厚い友情を盛り込むあたりは青春小説の趣もある。その主人公を喰ってしまうほどのキャラが、偽札造りに執着する老獪な男。彼が披瀝する終盤の印刷技術の蘊蓄や製紙工程に関する記述はかなり専門的で、僕はやや斜め読み気味だが…さて下巻へ2025/11/05
ALATA
111
普段何気なく使っている日本銀行券、福沢諭吉、夏目漱石に新渡戸稲造。街金でお金を必要とすることから始まるエンターテインメント。フェイクの連続、そしてどんでん返し。いやあ、面白い。偽札づくりのノウハウ、ぎりぎりの状態で仕掛けるコンゲームと主人公の挫折から復活への走る様はまさに奪取!いつもながら新保さんの取材力には脱帽です、次巻へ★5※手を変え,品を変え、名前を変え道郎。楽しい時間はあっという間だな。 2023/06/09




