講談社文庫<br> 終わりなき闇

講談社文庫
終わりなき闇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 629p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062635813
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

「君は特別な患者だ」と医師は言った。頭に銃弾を浴びて失った視力が深い闇に包まれると回復してくる。家族からも恋人からも訣別して夜の街を彷徨う男ブロム。そして次々に起こる不思議な出来事。妄想か、現実か!真綿で締めつけられるような恐怖の連続。夢魔のように読者を幻惑する戦慄のサイコスリラー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

328
なんとも奇妙な味わいの小説だった。迷宮小説とでも言おうか。もっとも、それにしては迷宮が輪郭を結ばない。延々と長くマーティンの回想が続く第1部「夜の生活」。その嫋々たる長さは、あたかも幻想と現実の混沌とした世界の終わりのなさの喩であるかのようだ。頭に埋め込まれたチタン・プレートの謎は最後まで解けない。ヴァッサーと国家権力による実験だったのか否かは、とうとうマーティンにも私たち読者にもわからない。そして、失踪したニーナのその後を明かす第2部と第3部はほんとうに必要だったのだろうか。それもまたわからない。2018/09/22

ケイ

130
原因不明で失明する作品を「トリフィド」「白の闇」そしてこの「終わりなき闇」と立て続けに手をとったので、前2作の素晴らしさと比べながら読んでしまった。闇の中でのみ見えるという失明の仕方の独特な感じに冒頭は期待が高まったが、途中からこれほど長い物語に仕上げた理由に悩んだ。連載物で、原稿料を稼ぐために延々と書いたのではないかと邪推するほど。最後までくると、その理由がわからないのでもないのだが、ページ数が3分の1でもよかったと思う。ただ、半ば読み飛ばすように進んだので、何かを読み落としたのではと思わないでもない。2017/06/22

NAO

79
この話には、幾つか曖昧で薄気味悪いところがある。視力を失ったのに暗いところだと物が見えるというブロムが見ているのが、まず何とも不気味なことが多い。さらに、ブロムの主観でかかれているため、彼が語ることが真実なのか、ただの幻想なのかが分からない。ブロムの話とは離れる第二部で描かれているエディス・ヘックマンの生涯もなんとも不気味だし、第三部では、とんでもない結末が描かれる。だが、この話がブロムが置かれたあやふやで不条理な状況を描いているのなら、こんなにも強烈な二部と三部は必要だろうか。⇒2021/04/11

ヘラジカ

24
こちらもかれこれ5年以上前に購入した古い積読本。義務感によって積読本に手を出す場合、大体は読み始めるともっと早く読まなかったのを後悔するのだが、これは逆だった。別に読まなくても良かった、もっと言うと途中で何度も止めようか悩んだ。最後まで読み通しても後味が悪く時間を無駄にした後悔しかない。他サイトのレビューからホラー・サスペンス・SF要素はほぼないのは分かっていたし、イギリスのミステリー仕立てで尖った文学作品は大好きなのだけれど、これは何も良いところを見つけられず。絶版だから今更だけど出版社の売り方も酷い。2017/05/20

南雲吾朗

7
突然銃で撃たれて盲目となった主人公が語る話。自分が突然視覚を失ったら、今までの世界とどの様に接したらよいかきっと解らないだろう。そんな解らない感覚を綴られても余計に混乱するだけなのだが、この小説は自然とそういう状況を踏まえたうえで読めた。妄想と、現実と、狂気に満ちた世界観が描かれているが、全体の印象としては、すごく寂しく、もの悲しい。2017/07/22

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