内容説明
夫と子供の不在の一夜、強盗に踏まこまれた、一人の平凡な主婦と強盗との接点を、誰にでも日常的に起こる得る恐怖と描く心理サスペンス『赤い殺意』。貧しく不幸に生まれ、ただ一筋に男に尽くすしかない可愛い女を浮き彫る直木賞受賞「罪な女」。精細な心理描写の丹念な積み重ねと、定評のある女の情感描写の双方が響き合って、人間の哀しさと人間愛へと収斂されていく長短編の代表作を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
88
直木賞】小田原で働く愛は、罪人の夫と別れて大町と結婚しようと思う。夫が恩赦で刑期を終えたら心を入れ替えて一緒に暮らしたいと。2人の申し出の間で迷う姿勢は20世紀中盤の様子。女性の弱気な意志決定を「罪な女」という題名を付すところも20世紀中盤風。2014/09/11
hit4papa
49
「赤い殺意」は、昭和34年発表のストーカーもの。強盗に暴行された主婦が、以降犯人に付け狙われ幾度となく体を要求されます。夫になじられ続ける日々に加えて、暴行犯から脅迫を受け言い諾々と要求を飲まざるを得ない出口なしの辛い状況が続きます。先を読むのがキツくなるほどの痛々さ。予想外のラストが良いです。「罪な女」は、直木賞を受賞した恋愛小説。客に惚れたぬいた芸妓の出会いと別れを描いた作品です。男女の心の機微が美しい。愛する人との別れを決意した時の心を引き裂かれる思いが巧みに描かれます。締めくくり方も良いですね。2023/04/18
大阪のきんちゃん2
10
1952年第27回直木賞受賞作品を含む。 古い小説もなかなか面白いけど、今更読む人は少ないかなあ~ 「赤い殺意」結末はこうきたか!と思わせる爽快感?みたいなものを感じました。ただし、主人公は終生暗い影を纏うことになるのではないかと思いますが・・・ それと、時代背景を考慮しないと今となっては理解できない部分もあるかもしれませんネ。 心理的に追い詰められていく恐怖が伝わってきます。 受賞作「罪な女」たった25ページ、織田作の雰囲気を感じました。お愛はこの後どうするんだろう・・・? これも時代を感じます。2022/06/10
kappa
3
「赤い殺意」では夫の留守中に強盗にレイプされ、その後もその男から執拗に性的暴行を受ける女性の心情がつづられている。昭和30年代の女性(特に主婦)の地位がいかに低かったか、夫や姑に仕えることが当然である社会情勢に理不尽さを感じた。しかし現在と社会情勢は違えども、性犯罪の被害にあった女性が泣き寝入りをするしかない事態は変わっていないのだなと感じた。2014/05/18
慧
0
★★