出版社内容情報
【内容紹介】
政治的迫害や生活苦にも負けぬ愛国心で、多くの名詩を書き残した“屈原”。君主の心意を知り抜いた戦術・戦略で、秦国の天下統一の中、最大の功績を収めた“王翦(おうせん)”。越王への恋心に揺れながら、3千人の荊棘兵(けいきょくへい)を育て上げた女“處女(しょじょ)”旧来の価値観や因習がすべて葬り去られた春秋戦国時代に、自分の信念を貫き通し歴史を作り上げてきた英雄達。台湾のトップ作家鄭問(チェンウェン)が描く、熱き人間ドラマが今燃え上がる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークムーンmk2
6
以前、中国史専攻の知人の前で屈原のことを評価したら、変人扱いされたことがあった。この本でも、憂国の士として扱っているが、Wikiでも?な表記はない。己に厳しく他人にも同様のレベルを求める人は、得てして嫉妬され、敬遠されることが多いと思うが、屈原などもそういう一人だろう。2018/01/14
尋日
2
放言癖のある弓術無双の養一箭って、おそらく今でいうアスペルガーみたいなのに近いのだと思う。能力のいびつさと無邪気さに相当なリアリティを感じる。今本屋に並んでいるそっち系の本より古典の方が役立つ、とまでいうのはさすがに牽強付会というものですが、何千年も昔から、そういうタイプの人材をどう活かすかということに腐心していたと思うとなかなか慕わしいものがある。にしても鄭問の絵は超美麗。京劇っぽい大きい仕草がまたたまらんね。2013/08/19
貴人
1
「貪財将軍」の回は、英雄というよりふてぶてしいまでの世渡り上手な老将軍の姿が、非常に好感がもてる。「美しき茨の花」の回は、現在なら映画化するのに格好のネタのような。実際にこの時代に圧倒的な強さを誇る女性なんて、どんな人物だったのか?非常に興味深い。「通哭七夜」の回は、シリーズ中何度も登場する伍子胥の怒りの描写が実に良い。こんなに戦い続け、最期あれかと思うと本当に孫子が言ったように功を成したら潔く消えるのが最上かもだ。「工商思想家」の回は、墨攻を読んでいたから感慨深い。2014/12/15