出版社内容情報
荒谷 大輔[アラヤ ダイスケ]
著・文・その他
内容説明
ジャック・ラカン(一九〇一‐八一年)は精神分析家だったのか?フロイトの理論を刷新し、精神分析を創出し続けた不世出の存在であるラカン。晦渋難解で容易に人を寄せつけないその思想は、しかし「哲学」として読むことで明確に理解できる。「唯物論」、「言語論」、「発生論」などのテーマを見出し、ラカンの全思想を年代順に通覧していく初の試み。気鋭の哲学者による前人未到の達成!
目次
序 精神分析の哲学、哲学の精神分析
第1章 唯物論―意識現象の存在について:~一九五三年
第2章 言語論―「叡智的世界」の理念性について:一九五三~五六年
第3章 発生論―エディプス・コンプレックスの形成について:一九五六~六〇年
第4章 数理論―理念的なものの構造について:一九六一~六二年
第5章 実践論―革命について:一九六三~七〇年
第6章 生成変化―多様な構造化の可能性について:一九七一~八一年
著者等紹介
荒谷大輔[アラヤダイスケ]
1974年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。江戸川大学教授。基礎・教養教育センター長。専門は、哲学、倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
34
24
フロイトは欲動を心的緊張の低下を目指す恒常的な力として定義している。しかしこの定義から帰結する心の経済論には、深刻な困難が存在することがしばしば指摘されている。ラカンはフロイトの欲動論に潜む(困難をもたらす)二元論的な前提を、巧みな読み替えによって払拭した。著者はこの線を追求しているわけではないけれども、欲動を心的装置の構造化をもたらす動因となるものとして強調し、その構造化の過程がヘーゲルの主奴の弁証法と明確な対応関係にあると指摘しているあたりは、ラカンの貢献をわかりやすく示しているといえよう。2018/05/17
Bevel
3
哲学を精神分析に還元するみたいな「哲学といわれる営みは本来、フロイトのいうようなものではなかったか」みたいなスタンスは共感できないけれど、ラカンにおいて、フロイトとカントがいかに並行的に捉えられてたかがすごく丁寧に解説されていてよかった。ただ第四章以降は、モチベーションがわからず、何でそんな話しないといけないかぜんぜん追えなかった。。2021/05/30
ゆきだるま
2
難しくて全てを理解することはできないのと、実感としてわからなかったとこもあるな。しかし、これをなんとなく読み終えた後に斎藤環氏の本を再読したらわかりやすかった。ただ、捉え方も人それぞれなのでしょう。2020/11/17
みどりまん
2
もう少し、「読み」たかったよ、ラカン。2019/07/18
眠り猫
1
「精神分析」という言葉に惹かれ読んでみたが、超難解。数式や集合、図形等が登場し、かつディスクールの意味も結局理解出来ず。ネットで概略を調べてから再挑戦しようかと考えています。2021/05/05