講談社選書メチエ<br> 丸山眞男の憂鬱

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講談社選書メチエ
丸山眞男の憂鬱

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586627
  • NDC分類 311.21
  • Cコード C0331

出版社内容情報

戦後日本を代表する知識人・丸山眞男が陥った「憂鬱」の正体とは? 日本の近代化に潜む真実を暴き、「憂鬱」を卒業する方途を探る。戦後日本を代表する知識人として知られる丸山眞男(1914-96年)。政治学の第一人者として「丸山政治学」と呼ばれる仕事を残し、多くの弟子と信奉者を生み出した丸山の主著は、しかし今日に至るまで真に読まれてはいない。
この紛れもない事実と向き合ってきた著者が、ついに丸山論を書き上げた。
ここで取り上げられる丸山の主著とは、『日本政治思想史研究』(1952年)である。大学院生の頃に小室直樹博士の自主ゼミナールでこの書を読んだ著者は、改めてこの書を取り上げるに際し、同じゼミナールで読んだ山本七平(1921-91年)の『現人神の創作者たち』(1983年)を併行して読む必要性に気づいた。この山本の著書で焦点をあてられているのは、山崎闇斎(1619-82年)とその学派であり、まさに闇斎と闇斎学派こそが丸山にとっての蹉跌となったことを著者は明確に認識する。
本書は、不可欠の準備作業として『日本政治思想史研究』を精読し、そこで取り上げられたものと取り上げられなかったものを綿密に腑分けすることから始められる。そこでは本格的に論じられずに終わった対象を、丸山は30年近くのちになって取り上げている。その長大な論文「闇斎学と闇斎学派」(1980年)を精読したあと、山本の『現人神の創作者たち』と対照させること。本書が実行しているのは実にシンプルな作業であるが、驚くべきことに、そのシンプルな作業がこれまでなされてこなかったことは厳然たる事実である。
闇斎学派に特徴的な正統な権威に対する絶対的な忠誠は、日本の近代化にとって不可欠なエートスとして機能した。その一方で、丸山を一躍スターにした論文「超国家主義の論理と心理」(1946年)で批判した、超越的な天皇への忠誠に駆動された「超国家主義」の淵源に闇斎学派があることもまた否定できない。このジレンマに気づいたあと、丸山と山本はいかなる道を選び、歩んだのか。後年の丸山に著者が見て取る「憂鬱」をもたらした真の理由とは何だったのか。
本書は、日本の近代化を考える上で避けて通れない主題に正面から取り組んだ画期の書にほかならない。

序 章
第2章 『日本政治思想史研究』を読む
第3章 『日本政治思想史研究』を批判する
1 逆張り
2 自然という概念
3 作為について
4 天皇について
5 闇斎学派の位置づけ
6 国民主義の「前期的」形成
7 丸山の文体
8 なぜ誰も批判しない
第4章 「闇斎学と闇斎学派」を読む
第5章 『現人神の創作者たち』を読む
第6章 丸山眞男と山本七平
1 闇斎学派のリゴリズム
2 リゴリズムなのか
3 朱子学と闇斎学
4 湯武放伐論
5 ドグマの形成
6 日本の正統論
7 儒学と神道
8 直方と絅斎
9 歴史との格闘
10 赤穂事件
11 尊皇思想へ
第7章 丸山眞男の憂鬱
1 宣長から水戸学へ
2 尊皇攘夷と明治維新
3 なぜ憂鬱なのか
4 ベラー『トクガワ・リリージョン』
5 憂鬱を卒業する
あとがき


橋爪 大三郎[ハシヅメ ダイサブロウ]
著・文・その他

内容説明

多くの弟子と信奉者を生み出した丸山眞男(一九一四‐九六年)は今日に至るまで、まだ真に読まれていない。主著『日本政治思想史研究』を精緻に読解するとき、山崎闇斎とその学派こそが丸山の蹉跌となったことが露呈する。「憂鬱」に陥り立ち止まった丸山の先を歩んだのは、『現人神の創作者たち』を発表した山本七平だった。近代日本が犯した失敗を繰り返さないために、今や丸山眞男に決着をつけなければならない。

目次

序章
第2章 『日本政治思想史研究』を読む
第3章 『日本政治思想史研究』を批判する
第4章 「闇斎学と闇斎学派」を読む
第5章 『現人神の創作者たち』を読む
第6章 丸山眞男と山本七平
第7章 丸山眞男の憂鬱

著者等紹介

橋爪大三郎[ハシズメダイサブロウ]
1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学者。東京工業大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

97
橋爪さんの小林秀雄の評論を読んで比較的フィーリングがあったのでこの本も手にとって見ました。著者は小室直樹のゼミで読んだことがあるとのことで丸山真男の「日本政治思想史研究」についての内容を紹介しつつ批判的な分析を行なっています。山本七平の「現人神の創作者たち」と比較しつつ山本のほうを評価しています。私は両書とも読んでいますがそんなに深い分析はしなかったのですが、この作者ほどの違いはあまり感じられませんでした。ただ問題意識をかきたてられたので再度読もうという気を起こさせてくれました。2019/06/02

kenitirokikuti

9
図書館にて。最近、本居宣長を学習しているのだが、その途中で目に入ったもの。後書きなどで説明されている通り、丸山の『日本政治思想史研究』および「闇斎学と闇斎学派」だけでなく、山本七平『現人神の創作者たち』も大きく扱っている▲小室直樹ゼミの話に懐かしさを感じた。そういや、小室は丸山を高く評価してるんだっけ…。別のところで触れられているように、吉本隆明は丸山の権威に挑む戦略であったから、吉本エピゴーネンの影響を受けて育った自分は丸山の評価は高くない。文学でいうと大江健三郎への姿勢と同じか。2021/06/28

衛府蘭宮

5
丸山眞男『日本政治思想史研究』と山本七平『現人神の創作者たち』の内容を紹介し、比較・検討を行う。敬意を持って批判(主に丸山を)し、両者の議論を継承していくぜという感じ(小並感)。『日本政治思想史研究』は一生読めなさそうな本なだけに、(適切か否かは判ずること能わずと雖も)その簡潔な内容紹介はありがたい。(が、思想史界隈ではガンガン批判されている同書について「なぜ誰も批判しないのか」と述べているのはいただけない気がする)2017/09/19

echo.

3
近代化とは、既にできあがったどこかの近代に感染することではない。 われわれ自身のプレ近代にその萌芽を見つけ、そこから個人の「義」、ふるまいかたを立ち上げていくことなのだ。憂鬱になっている場合ではない、「げんきになる」のだ。 まさに日本の社会科学の真骨頂はここにこそある。素晴らしい。2019/02/16

Isamash

2
東工大名誉教授の橋爪大三郎の著作。丸山眞男は『日本政治思想史研究』により近代の萌芽を荻生徂徠にあると結論づけたが、それを厳しく批判。神格化されているが、それは政治学という海外からの新しい理論に脅かされない領域で有ること等に起因するとも説く。一方在野の研究者ではあるが山本七平の『現代神の創作者たち』を高く評価し、朱子学から生まれた山崎闇斎と闇斎学派(崎門学派、浅見絅斎ら)が近代を切り開いたとの説に同意。彼らが儒学を神道に接続させ、イエの倫理を水戸学に持ち込み尊王攘夷思想を形成し明治維新への道を作ったとした。2021/07/27

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