出版社内容情報
帝国陸軍の至宝・永田鉄山(1884?1935)が戦間期に残した論考7編を収録。大日本帝国を支えた理論・思想の背骨を探る。「彼が生きていれば、太平洋戦争は起こらなかった」――近年再評価が進む、帝国陸軍の至宝・永田鉄山(1884-1935)。これまであまり世に出てこなかった永田自身の文書や発言録から、戦間期に残した論考6編を収録。その冷静かつ合理的な分析が訴える、あるべき国家の姿とは? 詳細な解説を加え、昭和の大日本帝国を支えた理論・思想の背骨を明らかにしてゆく。
第一次世界大戦の甚大な犠牲と破壊を受け、永田は戦争のあり方が様変わりしたと思い知る。それは短期かつあくまで局地的な戦いから、高度の工業生産力と膨大な資源を要する、長期にわたる国家総力戦への転換である。そして次なる大戦争は不可避と踏み、対応するには「国を挙げて抗戦する覚悟」をもって「国家総動員体制」を敷くべきであると説く。
永田は陸軍学校を優秀な成績で卒業後、長期のヨーロッパ駐在を経て軍の要職に就き、中堅幕僚の盟約「一夕会」を結成。東条英機、武藤章らとともに「統制派」を率いて国家総動員体制を推進、理論的支柱として満州事変以後は陸軍の実質的リーダーとなる。陸軍の革新を志し、政治進出にも大きな役割を果たすが、対立する皇道派により殺害される。二・二六事件はその翌年、日中戦争開戦はさらにその翌年。永田亡き後、日本は戦争とその結果としての破滅へ突き進むことになる。
来たるべきものである戦争に、いかに臨むか――にわかに国際関係の緊張が高まる現代、極めて誠実に、現実的に国防を考えた永田のロジックから、21世紀の我々は何を学べるだろうか。
〈論集〉
「国防に関する欧州戦の教訓」(1920)
「国家総動員準備施設と青少年訓練」(1926)
「現代国防概論」(1927)
「国家総動員」(1927)
「満蒙問題感懐の一端」(1932)
「国防の根本義」(真崎甚三郎文書)
「国防の本義と其強化の提唱」(陸軍省新聞班)
〈解説〉永田鉄山の軍事戦略構想(川田稔)
川田 稔[カワダ ミノル]
解説/編集
内容説明
「帝国陸軍の至宝」永田鉄山(一八八四‐一九三五)。第一次世界大戦がもたらした甚大な被害の衝撃は、このエリート軍人に「次の大戦は必ず起こる」と確信させた。国家総動員、資源の確保、政治への介入、若者の教育…。危難の時代を生き延びるため、あるべき国の姿とは?戦間期に永田自身が遺した論考七編に解説を加え、のち開戦に至る論理の核となった思考と足跡をたどる。
目次
国防に関する欧州戦の教訓
現代国防概論
国家総動員準備施設と青少年訓練
国家総動員
満蒙問題感懐の一端
国防の根本義
国防の本義とその強化の提唱―陸軍省新聞班
著者等紹介
川田稔[カワダミノル]
1947年生まれ。名古屋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。現在、日本福祉大学教授、名古屋大学名誉教授。法学博士。専門は政治外交史、政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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