講談社選書メチエ<br> 新・中華街―世界各地で“華人社会”は変貌する

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講談社選書メチエ
新・中華街―世界各地で“華人社会”は変貌する

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586351
  • NDC分類 334.522
  • Cコード C0325

出版社内容情報

「池袋チャイナタウン」のような新たな街は、世界中で増えている! 彼らの強さの秘密とは? 世界中を訪ね歩く地理学者のレポート。近年、池袋駅北口に出現した「池袋チャイナタウン」は、中国料理店や食材店だけでなく、危険ドラッグの販売店などもあることから、物議をかもしている。しかし、こうした「新しいタイプのチャイナタウン」は、東京だけでなく、世界中に増えているのだ。1978年に始まる中国の「改革開放路線」以降、新たに海外に出ていった中国人、すなわち「新華僑」によって形成されてきたチャイナタウンを、本書では「新・中華街」と呼び、その実態を世界中に訪ね歩く。
チャイナタウンは、単なる「中国料理と中国食材の街」ではない。そこは、さまざまな事情と思いを抱えて海外に飛び出した華人たちが、新たな挑戦をする舞台であり、足掛かりである。アメリカ、カナダはもちろん、ロンドン、パリ、さらにイタリアや東欧諸国でも、「食文化」を有力な武器として現地社会に溶けこみ、地縁・血縁を絆とした強いコミュニティををつくりあげる華人社会がある。
本書はさらに、そうした新華僑を大量に送り出している中国の町=僑郷のいくつかをフィールドワークし、同郷・同族のパイプと、帰郷した「元・華僑」たちの暮らしも描き出す。
なぜ、日本人街や韓国人街、イタリア人街は世界中に広がらないのか? 華人社会の海外における「強さ」の秘密とは? 異色の地理学者によるフィールドワークの成果。

はじめに
序章 「中華街」から「新・中華街」へ
1 チャイナタウン略史
2 新旧「華僑」のライフヒストリー
第一章 池袋で何が起きているか
1 池袋チャイナタウンとは
2 日本三大中華街との違い
第二章 世界各地の「新・中華街」    
1 拡大するアメリカの華人社会―「新・中華街」の形成
2 カナダの新・中華街―香港人から新華僑の富裕層へ
3 新華僑の増加が著しいイギリス・フランス
4 南欧・東欧の「新・中華街」
第三章 華人の〈食〉と現地社会
1 現地化・大衆化する中国料理
2 観光資源としての〈食〉
第四章 僑郷との絆         
1 同郷・同族のパイプ
2 日本老華僑の僑郷―福建省福清市
3 日本老華僑およびヨーロッパ新華僑の僑郷―浙江省温州近郊の青田
4 北方の新僑郷、中国残留帰国者の僑郷―黒竜江省ハルビン市方正県
第五章 国家と政治と地域社会   
1 華人と中国の政治
2 華人の政治参加
3 地域社会との葛藤
終章 華人社会の〈強さ〉とは何か
あとがき


山下 清海[ヤマシタ キヨミ]
著・文・その他

内容説明

東京・池袋駅北口に突如出現した「池袋チャイナタウン」。新しいタイプのチャイナタウンが、世界で急増している。ロンドン、パリ、ミラノ、ブダペスト、ワルシャワ、トロント…。一九七八年の改革開放後、「新華僑」によって形成されてきた各地の「新・中華街」を訪ね歩き、現地化する食文化と、地縁・血縁を絆とする強いコミュニティの実態を調査。新華僑を送り出す中国の町「僑郷」の暮らしも現地レポート。なぜ、日本人街やイタリア人街は、世界に広がらないのか?

目次

序章 「中華街」から「新・中華街」へ
第1章 池袋で何が起きているか
第2章 世界各地の「新・中華街」
第3章 華人の“食”と現地社会
第4章 僑郷との絆
第5章 国家と政治と地域社会
終章 華人社会の“強さ”とは何か

著者等紹介

山下清海[ヤマシタキヨミ]
1951年、福岡県生まれ。筑波大学大学院博士課程地球科学研究科修了(理学博士)。秋田大学教授、東洋大学教授などを経て、筑波大学生命環境系(地球環境科学専攻)教授。専門は、人文地理学、華僑・華人研究。世界各地のチャイナタウンのフィールドワークに取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

86
日本の中華街(横浜・神戸・長崎)は一応行ったことがあるが、新・中華街というのは知らなかった。池袋に有るらしい。世界のチャイナタウンは変貌しているという。改革開放後、新天地を求め国を出、新・中華街を作っている。それにしても何故、中華街は世界に拡がるのだろう?中国人の強い血縁・地縁の絆が理由であることは間違いない。著者は各地の中華街をフィールド調査と称して訪ね歩き、食べ歩く。彼ら華僑の故郷、福建省や広東省の「僑郷」も。学術的な論考というより完全にルポ。「楽しんで仕事をしている人は幸せだ!」と本人も言っている。2021/04/09

ののまる

20
世界のチャイナタウンを見れば、その国の華人の状況がよくわかる。大阪では日本橋付近がチャイナタウン化しつつあるのだけど、あれはどちらかというと爆買いにくる中国人観光客向け店舗(なぜ日本に来て中国製の安い品を中国人店で買うのか??と聞けば使い捨て用らしい)で、それはチャイナタウンではなくてなんと呼べばよいのだろう。という具合に、カテゴリ化不能なほど、日々変容していく華人社会。訪日客がいなくなればさっさと閉店して他の稼げる国にいくであろう逞しさ。その変化にちゃんとついて行かないと完璧に置いてかれる日本経済。2016/10/20

さとうしん

10
横浜・神戸など旧来の中華街と池袋などの新中華街との比較、観光地としての整備によって中国人の街としての「リアル」を失ってしまった旧中華街、世界の新旧中華街、故郷に錦を飾る華僑のあり方、日本人に「魔改造」されるまでもなく、自分たちの力で現地化していく華人の食、「莫談国事」から転換しつつある華人の政治参加等々、華僑・華人をめぐる面白い地誌・民族誌に仕上がっている。2016/11/15

穀雨

6
地理学者の著者が、改革開放以降、世界各地に出現したチャイナタウンと、そこに暮らす人々を訪ねた、学術書というよりもルポのような本。中国人の地縁・血縁の強さと、中華料理の魅力がチャイナタウン発展の原動力となったことがよくわかる。あとがきで著者は、仕事を楽しみにできている私は幸せ者だと自ら述べているが、研究の一環と称してチャイナタウンの名物料理に舌鼓を打つ著者をみていると、確かにとてもうらやましく思えた。2020/04/21

残留農薬

3
(新)華僑の流入で在地社会、老華僑のコミュニティはどのように変容するのか、どのような軋轢・問題が生じているのか、世界津々浦々のチャイナタウンを事例に論じている。興味深かったのは、池袋然り、チャイナタウンになっている場所は元々よそ者に対して比較的寛容な場所であったという指摘である。今後その街の主役が華人以外になったとしても、そこで育まれた人的なネットワークは拠点を変えて継承されていくだろうし、その街自体が持つ、外来者がその国その地域に参入するゲートウェイとしての役割も維持されていくのだろう。2017/04/22

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