出版社内容情報
「よそ者」の流入が、都市の「快適な空間」と「格差」を生んだ! 「世界最古の都市」と文明の始まりを探究する西アジア考古学の成果世界の考古学者にとって、「都市の起源」は、「人類の起源」「農業の起源」と並ぶ「三大テーマ」のひとつである。大規模な集落に人々が集住し、快適な暮らしを求めて試行錯誤し、そこで新たな経済活動と政治権力が生まれる。「都市の起源」を探究することは、文明の起源を知ることなのである。
従来、「世界最古の都市」とされてきたパレスティナのエリコ(イェリコ)は、近年、その「都市説」が見直されている。では、「世界最古」はいったいどこなのか? おもに西アジアで都市形成期の遺跡発掘に携わってきた著者は、イラクのウルク遺跡と、シリアのハブーバ・カビーラ南遺跡を「最有力候補」として挙げる。本書は、この二つの遺跡を中心に、メソポタミアのアブ・サラビーフ、ウル、バビロン、エリドゥなどのほか、インダスのモヘンジョダロ遺跡なども検討し、「都市はどのように誕生したのか」「なぜ、西アジアに最初の都市が生まれたのか」を探っていく。
著者によれば、人の移動、すなわち「よそ者」の流入が契機となって、集落内の富の偏在、すなわち格差が生まれ、また同時に快適な生活空間への工夫が促されて「都市」が発達してきたという。
はじめに
序章 二つの「世界最古」の都市
第一章 川、墓、神殿
第二章 「よそ者」との共存
第三章 安心と快適さの追求
第四章 人と人をつなぐ
第五章 神を頂点とした秩序
終章 都市と権力
小泉 龍人[コイズミ タツンド]
著・文・その他
内容説明
「都市の起源」は、「人類の起源」「農業の起源」と並ぶ、世界の考古学の「三大テーマ」のひとつである。「世界最古の都市」はどこなのか。そもそも都市とは何なのか。そして、なぜ西アジアに最初の都市が誕生したのか。大規模な集落に住んだ人々が、「よそ者」の流入を契機として安心と快適さを求め、そこに格差と争いが生じる過程を、メソポタミアのウルクや、シリアのハブーバ・カビーラ南など重要遺跡の発掘調査と、最新の研究成果をもとに解く。
目次
序章 二つの「世界最古」の都市―神と銀の街
第1章 川、墓、神殿―自然環境と祭祀儀礼
第2章 「よそ者」との共存―街並みの変貌
第3章 安心と快適さの追求―都市的集落から都市へ
第4章 人と人をつなぐ―「都市化」の拡散
第5章 神を頂点とした秩序―都市の「陰」の部分
終章 都市と権力―国家的な組織による秩序の維持
著者等紹介
小泉龍人[コイズミタツンド]
1964年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。早稲田大学、明治大学、日本大学等で講師、国士舘大学イラク古代文化研究所で共同研究員。専門は、西アジア考古学、比較都市論、古代ワイン。1998年に日本オリエント学会第二〇回奨励賞受賞。2015年には、国立科学博物館の特別展「ワイン展」の学術協力、図録執筆・展示に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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