講談社選書メチエ<br> 連続講義 現代日本の四つの危機―哲学からの挑戦

電子版価格
¥1,925
  • 電書あり

講談社選書メチエ
連続講義 現代日本の四つの危機―哲学からの挑戦

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 343p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586085
  • NDC分類 104
  • Cコード C0310

出版社内容情報

「知」「ことば」「いのち」「戦争」という「四つの危機」を取り上げた哲学者たちの格闘の記録。ライヴ感あふれる講義を完全再現。本書は、2014年9月から2015年1月にかけて高千穂大学で行われた連続講義を基にしたものである。日本を代表すると言っても過言ではない12名の哲学者たちが、一般の聴衆を前に「現代日本の危機」を提示し、その打開策を探る「哲学からの挑戦」の試みは、大きな反響を呼んだ。本書は、熱のこもった会場の模様を再現することを目指し、ライヴ感あふれる口語体による連続講義として編まれる。編集には、現在注目を集めている気鋭の哲学者があたった。
「実学優先」が叫ばれ、「哲学や人文学など不要だ」という暴論まで平気で口にされる現状の中で、「知」の拠点であるはずの大学は、まさしく存亡の危機にある。また、インターネットをはじめとする情報通信技術の発展によって、グローバルな規模でのコミュニケーションは確かに加速したが、逆説的にも、それに比例して「ことば」はただの消費材と化し、思慮ある議論の場は急速に失われつつある。そうして、一見、高度に成熟したように見える社会の背後では、人が生まれて死ぬという「いのち」の事実に対する感性は鈍くなり、世界各地でテロをはじめとする、従来の観念では捉えきれない「戦争」の現実味がかつてなく高まっていることは言うまでもない。
本書は、ここに掲げられた「知」、「ことば」、「いのち」、「戦争」という「四つの危機」を正面から取り上げ、立ち向かおうとした哲学者たちによる真剣な格闘の記録である。歴史を振り返れば、哲学はいつも時代の危機と闘う役割を担ってきた。哲学によってしか打破できない危機があり、哲学によってしか切り拓かれない未来がある。その未来の姿は、本書の中で生きた言葉を通して指し示されている。

はじめに(齋藤元紀)
第I部 知の危機
第1講 日本の近代化と啓蒙の意義と課題(牧野英二(法政大学教授))
第2講 現代における心の危機と哲学(信原幸弘(東京大学教授))
第3講 大学の危機と哲学の問い(西山雄二(首都大学東京准教授))
第II部 ことばの危機
第4講 対話としての哲学の射程(梶谷真司(東京大学教授))
第5講 民主主義の危機と哲学的対話の試み(小野原雅夫(福島大学教授))
第6講 言葉が開く宇宙─―『おくのほそ道』に学ぶ(魚住孝至(放送大学教授))
第III部 いのちの危機
第7講 危機の/と固有性、あるいは危機の形而上学(斎藤慶典(慶應義塾大学教授))
第8講 「世界の終わり」と世代の問題(森 一郎(東北大学教授))
第9講 危機の時代とハイデガー(高田珠樹(大阪大学教授))
第IV部 戦争の危機
第10講 戦争と戦争のあいだ(澤田 直(立教大学教授))
第11講 〈アウシュヴィッツ以後〉の哲学(宮崎裕助(新潟大学准教授))
第12講 はじまりについて(矢野久美子(フェリス女学院大学教授))
おわりに(齋藤元紀)


齋藤 元紀[サイトウ モトキ]
編集

内容説明

人口減少と高齢化が避けられず、テロと戦争の不安は増大し、知の中核であるはずの大学では人文学が放逐される…日本は未来に光が見えない時代を生きている。尽きせぬ不安の源にまなざしを向ければ、「知」、「ことば」、「いのち」、「戦争」という“四つの危機”がある。日本を代表する12人の哲学者がこれらの危機の本質を照らし、打開策を探る。圧倒的支持を得た連続講義、ここに完全再現!

目次

第1部 知の危機(日本の近代化と啓蒙の意義と課題―人間の心と社会の「成熟」を考える;現代における心の危機―依存症と自律性の喪失;大学の危機と哲学の問い)
第2部 ことばの危機(対話としての哲学の射程―グローバル時代の哲学プラクティス;民主主義の危機と哲学的対話の試み;言葉が開く宇宙―『おくのほそ道』に学ぶ)
第3部 いのちの危機(危機と/の固有性、あるいは危機の形而上学―ハイデガーとジャンケレヴィッチを手がかりに;「世界の終わり」と世代の問題;危機の時代とハイデガー)
第4部 戦争の危機(戦争と戦争のあいだ―サルトルのアンガジュマン思想;アウシュヴィッツ以後の哲学―表象不可能性と生き延びの生;はじまりについて)

著者等紹介

齋藤元紀[サイトウモトキ]
1968年生まれ。法政大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、高千穂大学教授。専門は、解釈学・哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sk

8
現代の危機について哲学的に思考したオムニバス講義の記録。論点が多岐に渡り、また読みやすい。2019/04/30

さえきかずひこ

8
2014年から翌年にかけて杉並区の高千穂大学で行われた連続講義をまとめ書籍化したもの。登場する編者以外の12人の学者のなかで異色なのは、第6講の魚住孝至氏。専門は倫理学・日本思想だそうだが、松尾芭蕉『おくのほそ道』がどのように執筆されたかを彼の生涯とあわせ丹念にたどりながら、俳諧の精神の枢要を説いている。他の講義は現代日本・世界の諸問題について哲学的アプローチを行う内容が多いので読みやすいが、いささか全体的に浅く薄味な感が否めない。しかし、入門書的に哲学の初学者が手にとってみるには良いのではないだろうか。2018/09/17

ミヒャエル・安吾

1
12人の哲学者の連続講義を書籍化2017/06/27

Hayek

1
★★★☆☆合理化の進展は人間と自然に対する支配や抑圧を強化する。価値の時間割引による選好逆転の現象。わからない事を増やすこと。単なる「ある」が「である(本質)」と「がある(実在)」に二重化された時、「ある(存在)」は現象へと立ち出でる。現象を可能にしているのは意味(理解)に他ならない。ギドウのニヒリズムは純然と哲学的に導出されたものでは無く、同質的な時代の産物。イデオロギーは目の前の現実を無意味なものとして無視する。2015/09/03

ミツキ

0
この連続講義を実際に聴くことができた人をたいへん羨ましく思うと同時に、これが書籍化されて読めることをとてもありがたく思う。とりわけ、危機についての斎藤論文と、はじまりについての矢野論文が面白かった。また、澤田論文を読んで、アンガジュマンとは“割り当て”であり、その“引き受け”でもあるのかと考えた。2015/11/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9806195
  • ご注意事項