講談社選書メチエ<br> 軍人皇帝のローマ―変貌する元老院と帝国の衰亡

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講談社選書メチエ
軍人皇帝のローマ―変貌する元老院と帝国の衰亡

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586023
  • NDC分類 232.8
  • Cコード C0322

出版社内容情報

教養ある富裕層=元老院からバルカン半島出身の軍人皇帝へ。三世紀の支配者層の激変を描き、ローマ帝国と文明衰亡の原因を探る一冊。共和政期以来、七〇〇年にわたり、ローマ帝国を支えてきた元老院。
しかし、軍事情勢が悪化し、貧富の差が拡大した三世紀以降、
支配権はバルカン半島出身で下層民からのぼりつめた軍人皇帝の手に移る。
アウレリアヌス帝、ディオクレティアヌス帝、コンスタンティヌス帝など、
じつに七七人中二四人が、バルカン半島出身の軍人皇帝である。
ローマ文明を担うエリートの元老院の失墜と武人支配への変化を描き、
ローマ帝国衰亡の世界史的意味をとらえなおす。

序章 支配者層の変動とローマ帝国の衰亡
第一章 繁栄の時代から危機の時代へ――支配者層変動の遠因と近因
第二章 イリュリア人の興隆――ウァレリアヌス帝の改革
第三章 イリュリア人皇帝の時代――クラウディウスからディオクレティアヌスへ
第四章 イリュリア人の実像
第五章 元老院議員の世界――その文人的生活
第六章 イリュリア人の後退と元老院の復権
第七章 イリュリア人とゲルマン人の帝国
終章 軍人貴族の支配と元老院貴族の敗退


井上 文則[イノウエ フミノリ]
著・文・その他

内容説明

共和政期以来、七〇〇年にわたり、ローマ帝国を支えてきた元老院。しかし、軍事情勢が悪化し、貧富の差が拡大した三世紀以降、支配権はバルカン半島出身で下層民からのぼりつめた軍人皇帝の手に移る。アウレリアヌス帝、ディオクレティアヌス帝、コンスタンティヌス帝など、じつに七七人中二四人が、バルカン半島出身の軍人皇帝である。ローマ文明を担うエリートの元老院の失墜と武人支配への変化を描き、ローマ帝国衰亡の世界史的意味をとらえなおす。

目次

序章 支配者層の変動とローマ帝国の衰亡
第1章 繁栄の時代から危機の時代へ―支配者層変動の遠因と近因
第2章 イリュリア人の興隆―ウァレリアヌス帝の改革
第3章 イリュリア人皇帝の時代―クラウディウスからディオクレティアヌスへ
第4章 イリュリア人の実像
第5章 元老院議員の世界―その文人的生活
第6章 イリュリア人の後退と元老院の復権
第7章 イリュリア人とゲルマン人の帝国
終章 軍人貴族の支配と元老院貴族の敗退

著者等紹介

井上文則[イノウエフミノリ]
1973年京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授。京都大学博士(文学)。専攻は古代ローマ史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nat

32
図書館本。元老院の力が衰え、貴族層出身の皇帝から下層民から上りつめた軍人皇帝の支配に変化していったこととローマの衰退を結びつけて解説している。ディオクレティアヌスの目指した画期的帝位継承システムが定着しなかったのは残念。自ら退位したという点も注目される皇帝だと思う。2022/02/23

Homo Rudolfensis

30
☆4.3 漢が滅びても中華文明は生き続けたのに対し、なぜローマの文明は帝国とともに消えたのか、という問いに挑んでいます。ローマ史好きなら漢にライバル心を抱く人もいると思いますが、そんな人におすすめです。文明の主な担い手である元老院貴族ではなく、イリュリア人をはじめとする無教養な軍人貴族が指導者として民衆に支持されたため、と説明されていて、腑に落ちました。とても面白く、「ローマ人の物語」のような感覚で読めますし、軍人皇帝時代の入門書にうってつけだと思います。2022/02/03

ゲオルギオ・ハーン

29
3世紀危機時代のローマ帝国における変化を、ウァレリアヌス帝の改革に関連してまとめた一冊。西方はゲルマン系民族、東方はササン朝ペルシアの攻勢を受けて、従来の軍事体制では対応が追い付かなくなった帝国においてウァレリアヌス帝は皇帝直参の中央機動軍の創設と元老院議員階層ではなく、純粋な軍内からの叩き上げを積極登用することで軍事力を高めました。ところが、これは支配階層が元老院階層から中央機動軍所属のイリュリア系軍人系へ変わることになりローマ帝国は変質していきます。2021/05/11

24
ローマの軍人皇帝時代の政治史を概説しながら、なぜローマ文明が国家と共に滅亡したのかを論証している。異民族の侵入を同じように受けたのに、中華文明は継続して発展し、ローマ文明は断絶してしまった。この遠く離れた二つの文明の対比という着眼点が面白く、導入から引き込まれた。著者は、ローマ文明が断絶した理由として、・元老院貴族との不仲が原因で軍人貴族の文人化が進まなかったこと。・文明(知的遺産)の継承者である元老院貴族や富裕層の堕落と、その結果起こった一般市民層からの乖離。 などを挙げている。 2015/07/20

さとうしん

19
イリュリア人、すなわちバルカン半島出身の軍人貴族と元老院貴族を軸にして見るローマ帝国衰亡史。イリュリア人を武川鎮軍閥になぞらえたり、主に宮崎市定の時代観に沿った中国史との比較を行っているのが独特。中国とは異なってローマの文明が帝国とともに崩壊してしまったのは、元老院貴族が中国の貴族とは違って文明の担い手として民衆の支持が得られなかったからという見方を提示する。2018/10/12

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