出版社内容情報
「平民宰相」の生涯を描く初の本格評伝。大隈重信・山県有朋・桂太郎らとの確執を経て政党内閣を実現し、東京駅で凶刃に斃れるまで。厖大な史料を歴史研究者としての確かな眼で読み込み、伊藤博文や山県有朋、昭和天皇など近代日本をつくってきた人々の評伝を著して高い評価を得てきた著者による、渾身の書き下ろし新作。「平民宰相」として知られる原敬の65年の生涯を描く、本格的評伝。上下全2巻のうちの下巻。
原敬といえば、おもに初の本格的政党内閣を実現し、薩長藩閥政治の克服に努めた東北出身の政治家としてのみ語られることが多いが、著者によれば、原の政治家としての特色は、外交や内政に高い理想を持ち、それが当時の状況に合致していたこと、またそれらを実現するための手法やタイミングを知り尽くしていたこと、にあるという。また、新聞記者・外交官・企業経営者など多彩な顔を持ち、そこで吸収した見識を元に一貫して「公利」という概念を重視し、第一次世界大戦後の世界を見通して新たな日本政治の道筋をつけた、ポスト「元勲世代」のもっとも偉大な政治家だったのである。
下巻では、大隈重信、山県有朋、桂太郎らとの確執を経て、首相として初の政党内閣を成立させながら、東京駅で凶刃に倒れるまでの後半生を描き、この暗殺によって失われた日本政治のその後の可能性と、原が日本の歴史に遺したものについて考察する。
第四部 剛毅編
第一九章 西園寺内閣を誕生させる―日露戦後に内相となる
第二〇章 政党政治家原敬の成長―内閣の実力者となる
第二一章 米欧周遊とその後の円熟―米国への高い評価と日本の指針
第二二章 実業への活動の広がりと充実―古河鉱業の近代化
第二三章 選挙地盤の地盤の確立と郷里への思い―盛岡別邸・『南部史要』
第二四章 桂太郎との連携の崩壊―辛亥革命・明治天皇崩御・大正政変
第二五章 秩序ある政治改革を推進―山本内閣
第五部 老熟編
第二六章 「最後の危機」と政党政治への道―第一次世界大戦と大隈内閣
第二七章 「一山三文」の精神の充実―腰越別荘新築・戊辰殉難者五十年忌
第二八章 政友会の勢力回復と寺内内閣―中国外交とシベリア出兵、米騒動
第二九章 原内閣の誕生と新外交―大戦後の外交と植民地
第三〇章 内政大改革の実施―教育・鉄道・国防・選挙区
第三一章 政党政治の健全な発達をめざして―一九二〇年総選挙と原首相の権力
第三二章 軍と宮中の掌握―イギリス風立憲制
第三三章 暗殺・葬儀―「盛岡市民葬」
おわりに―原敬が暗殺されずに長生きしていたら
伊藤 之雄[イトウ ユキオ]
著・文・その他
内容説明
日露戦争後、西園寺公望内閣の内務大臣となった原は、山県有朋、桂太郎、大隈重信らとの対決を経て、ついに首相として初の政党内閣を成立させる。しかし、第一次世界大戦後の世界を見通し、新たな日本への道筋をつけつつあったさなか、東京駅で凶刃に斃れた―。理想を求めて格闘し、政治を知り尽くしたその生涯を描き、暗殺によって失われたその後の歴史の可能性を考察する。
目次
第4部 剛毅編(西園寺内閣を誕生させる―日露戦後に内相となる;政党政治家原敬の成長―内閣の実力者となる;米欧周遊とその後の円熟―米国への高い評価と日本の指針;実業への活動の広がりと充実―古河鉱業の近代化;選挙地盤の確立と郷里への思い―盛岡別邸と『南部史要』 ほか)
第5部 老熟編(「最後の危機」と政党政治への道―第一次世界大戦と大隈内閣;「一山百文」の精神の充実―腰越別荘新築・戊辰殉難者五十年忌;政友会の勢力回復と寺内内閣―中国外交とシベリア出兵、米騒動;原内閣の誕生と新外交―大戦後の外交と植民地;内政大改革の実施―教育・鉄道・国防・選挙区 ほか)
著者等紹介
伊藤之雄[イトウユキオ]
1952年、福井県生まれ。京都大学大学院文学研究科修了、現在、京都大学大学院法学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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