講談社選書メチエ<br> “階級”の日本近代史―政治的平等と社会的不平等

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講談社選書メチエ
“階級”の日本近代史―政治的平等と社会的不平等

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  • サイズ B6判/ページ数 200p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062585897
  • NDC分類 312.1
  • Cコード C0321

出版社内容情報

戦前の民主主義が崩壊した最大の理由は、社会的平等への無関心にあった。近代史の碩学が階級という視点から描く明治・大正・昭和。武士の革命としての明治維新。農村地主の運動としての自由民権運動。男子普通選挙制を生んだ大正の都市中間層……。しかし、社会的格差の是正は、自由主義体制下ではなく、日中戦争後の総力戦体制下で進んだというジレンマをどうとらえればよいのか。「階級」という観点から、明治維新から日中戦争勃発前夜までの七〇年の歴史を、日本近代史の碩学が描き出す。(講談社選書メチエ)

はじめに
第一章 「士族」と「農村地主」
 1 社会革命としての明治維新 
 2 四〇万士族と九〇万地主
 3 士族と地主の協調 
   
第二章 農村地主の時代 
 1 「民力休養」と格差の固定化
 2 軍備縮小か大衆課税か?
 3 保守化と大きな政府
 4 政治的安定と社会的不安定
第三章 資本家の時代 
 1 地主議会と普通選挙
 2 普通選挙制と「私有財産制」
 3 「資本主義」か「民本主義」か、「大きな政府」か「小さな政府」か
第四章 階級の多様化と政治の分裂  
 1 階級分裂と軍ファシズム
 2 挙国一致、デフレ脱却、国際的孤立 
第五章 「戦争」と「独裁」なき「平等」 
 1 日中戦争前の「平等」の軽視 
 2 「戦争」なしの「平等」 
おわりに


坂野 潤治[バンノ ジュンジ]
著・文・その他

内容説明

武士の革命としての明治維新。農村地主の運動としての自由民権運動。男子普通選挙制を生んだ大正の都市中間層…。しかし、社会的格差の是正は、自由主義体制下ではなく、日中戦争後の総力戦体制下で進んだというジレンマをどうとらえればよいのか。「階級」という観点から、明治維新から日中戦争勃発前夜までの七〇年の歴史を、日本近代史の碩学が描き出す。

目次

第1章 「士族」と「農村地主」(社会革命としての明治維新;四〇万士族と九〇万地主;士族と地主の協調)
第2章 農村地主の時代(「民力休養」と格差の固定化;軍備縮小か大衆課税か?;保守化と大きな政府;政治的安定と社会的不安定)
第3章 資本家の時代(地主議会と普通選挙;普通選挙制と「私有財産制」;「資本主義」か「民本主義」か、「大きな政府」か「小さな政府」か)
第4章 階級の多様化と政治の分裂(階級分裂と軍ファシズム;挙国一致、デフレ脱却、国際的孤立)
第5章 「戦争」と「独裁」なき「平等」(日中戦争前の「平等」の軽視;「戦争」なしの「平等」)

著者等紹介

坂野潤治[バンノジュンジ]
1937年、神奈川県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京大学社会科学研究所教授、千葉大学法経学部教授を経て、東京大学名誉教授。専攻は、日本近代政治史。著書に、『近代日本の国家構想』(岩波現代文庫、吉野作造賞受賞)、『日本憲政史』(角川源義賞受賞、東京大学出版会)、など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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きいち

28
若々しい提言の本。◇日本が平等を実現したのは無条件降伏による農地改革など一連の占領軍の改革によるもの、という通念に対し、いや、それは総力戦体制で実現していた、という見方が進んでいる。坂野は明治以来の政治的平等と社会的格差是正のタイムラグを追うことで、総力戦などなくとも選挙による平等の実現はできたのでは?と可能性を提示する。◇自分が最近追ってきた宮本常一の戦前の農村ルポや綴方教育運動の地方での進展からすると、30年代は確かに暗黒の時代ではない。そしてそこで育った人材は強固な階級社会を崩せたかも。納得度高い。2015/01/20

樋口佳之

10
社会的な変化が政治的変化となって現れるのには、時間がかかる。この「時間差」を忘れたことが、社会経済的「土台」が政治や法律などの「上部構造」を規定するという「史的唯物論」の信頼を失わせた原因ではなかろうか。2017/01/20

Happy Like a Honeybee

7
納税学を引き下げても、民意を反映していないと。幣原外交と統帥権干犯問題。階級が多様化することで政治が分裂。1930年ロンドン軍縮から1932年五.一五事件にかけて民意は拒否を表明していた。しかし様々な工作により、挙国一致内閣、国際的孤立などその後の歴史はご存知の通り。平和だから自由が謳歌できる現実を受け止めなければ。2015/07/31

BLACK無糖好き

7
日本の高度成長と社会主義諸国の衰退から、日本近代史が「階級史観」を失ってしまった今日では、「社会格差」の是正の知恵を歴史から学ぶことは不可能である。といきなりバッサリ切られる^^;。近年の研究では、社会格差是正は自由主義体制下ではなく、日中戦争勃発後の「総動員体制」下で進んだとされるが、著者は日中戦争勃発前に選挙での社会大衆党の躍進と、当時の進歩知識人による評価に焦点を当て、戦争がなくとも総選挙を通じて議会主義的に格差是正に向かっていたと説く。こういう視点は参考になりました。2015/01/13

軍縮地球市民shinshin

6
結構勉強になった。著者によると最近は戦時体制が「社会的平等」を却って促進させたという説があるようだ。雨宮昭一がその代表格で、曰く「経済も配給になったが、それは却って富める者には少なくなったが、貧しいものには今までよりも増えた」ということらしい。そういえば、山深い山村では米が採れない為、今まで口にできなかったが、戦時下になり配給で口にすることができるようになったという証言もある。著者はそれに敢然と批判する。「自由」がない「平等」や「平和」はいらないと。その通りだと感じた。つづく。2015/05/23

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