出版社内容情報
四曲を徹底的に聴き続ける。演奏者・指揮者による差異を聴く。あえて印象批評をする。すると不思議にも、作品の本質が浮かび上がる。
本書は、複製技術時代ならではの禁断の遊びに足を踏み入れます。禁断の遊びとは、ある曲のさまざまな演奏者・指揮者によるCD(レコード)を徹底的に聴き比べて、それに対して批評を加えるということです。
取り上げられる四曲はいずれも有名なものばかり。ヴィヴァルディ『四季』《春》、スメタナ『我が祖国』《モルダウ》、ベルリオーズ『幻想交響曲』、ムソルグスキー『展覧会の絵』がその対象となります。しかし、聴き比べとは言っても、名盤を選び出すわけではありません。演奏者・指揮者の優劣をつけることも目指しません。
あえて、印象批評を前面に押し出し、同じ曲を徹底的に聴き続けることで、その曲のもっている「本質」をあぶり出すことを目標にしています。
異色のクラシック音楽論です。
【著者紹介】
1965年、東京都生まれ。慶應義塾文学部美学美術史専攻卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程助教授を経て、現在、慶應義塾大学法学部教授。クラシック音楽評論家、文芸評論家。専門はドイツ文学、音楽史。主な著書に、『昭和のドラマトゥルギー』(講談社選書メチエ)、『世界最高のクラシック 』『世界最高の日本文学』(ともに光文社新書 )、『最高に贅沢なクラシック』(講談社現代新書)などがある。
内容説明
突如として楽曲の本質が生起する圧倒的な体験とは?あとう限りの指揮者・演奏家たちの録音を聴き尽くし、作品の理念に触れる―徹底した印象批評こそが鑑賞者を恍惚と神秘的瞬間に誘う。クラシック・ファン必読の新しいクリティカル・エッセー。
目次
第1曲 ヴィヴァルディ『四季』“春”―演奏家のエゴの痕跡(『四季』とは何か;大指揮者は大きな城を建てたがる ほか)
第2曲 ベドルジフ・スメタナ『わが祖国』“モルダウ”―内容を再現したがらない指揮者たちの反抗(“モルダウ”とは何か;「本場」指揮者たちの演奏史 ほか)
第3曲 ベルリオーズ『幻想交響曲』―自我の中で展開する私小説(『幻想交響曲』とは何か;達者な、しかし空虚な ほか)
第4曲 ムソルグスキー『展覧会の絵』―時間的経験と肉体的経験(「展覧会」という名の時間と空間;指揮者たちは何が欲しいのか)
著者等紹介
許光俊[キョミツトシ]
1965年生まれ。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程助教授を経て、慶應義塾大学法学部教授。専門はメディアと芸術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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