出版社内容情報
「捏造」後の日本の旧石器時代の全貌を描く石器しか資料がない中で、いかにして旧石器時代を知ることができるのか。石器分析の第一人者が、石器の詳細な分析から現代人とは全く異なる旧石器人の世界に迫る
内容説明
石器しか資料がない中で、いかにして旧石器時代を知ることができるのか。「捏造」事件の摘発にも深く関わった石器研究の第一人者が、石器の詳細な分析から、現代人とはまったく異質な旧石器時代人の文化を解明する。
目次
第1章 私たちは何者か―人類の「進化」と人間の成立(人類はどのようにして「進化」したのか;人間はどのようにして成立したのか)
第2章 岩宿遺跡の発掘から前期旧石器時代遺跡捏造事件へ(文化の捉え方と文化の発展の論理の研究史;前期旧石器時代研究の歴史)
第3章 石器研究の方法(研究方法の形成;石器製作作業の分析方法)
第4章 日本列島における旧石器時代の文化と歴史(後期旧石器時代以前と後期旧石器時代初期の文化;新石刃技法をもつ石器群;国府系文化の変容;文化の変容についての問題)
第5章 遺跡はどのようにして形成されたのか(環状ブロック群;茂呂系文化のブロック群;文化の荷い手はだれか)
著者等紹介
竹岡俊樹[タケオカトシキ]
1950年生まれ。明治大学文学部考古学専攻卒業、筑波大学大学院博士課程単位取得退学、パリ第6大学博士課程修了、博士号取得。共立女子大学、國學院大學などで非常勤講師を歴任。専門は考古学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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majiro
4
これはすごいなあ。思いは熱いけど、分析は客観的。そして、十分に一般書たりうる、平易かつ簡潔な記述。この薄さで、捏造事件まで含めてこんなに広範囲に書かれているとは。科学者の書く書籍のお手本としてすばらしい。2015/10/09
新平
3
石器という人類最古の人工物が当時のどのような技術(というか当時のヒト属による物理的打撃)で作られたのかという事実を、残された石器の特徴を観察し、言語として記載することにより推測し、反証可能な学問として扱っている。このような筆者の態度に比べると他の日本の考古学者の石器の解析というのが学問以前という評価を下さざるを得ない。そんな著者の日本の石器の分析による結論は「旧石器時代の日本列島内でがホモ・ハイデルベルゲンシスとホモ・サピエンスが共存」という驚くべきもの。2018/09/02
kozawa
0
本書の解説を元に絵や写真を見比べても私のような訓練を受けていない素人に石器の意味など判別がつかないわけだけど、こういう人材を増やすのは重要なんだろう2011/06/06