講談社選書メチエ
トマス・アクィナス『神学大全』

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  • サイズ B6判/ページ数 196p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062584548
  • NDC分類 132.2
  • Cコード C0316

内容説明

神とは何か。創造とは、悪とは、そして人間の幸福とは?キリスト教の根源にトマスは深い洞察で答える。斯界の第一人者が『神学大全』をアクチュアルな挑戦の書として読み直す。

目次

第1章 挑戦の書としての『神学大全』
第2章 神の問題―「五つの道」の意味
第3章 「交わり・即・存在」―人格のパラドックス
第4章 創造と宇宙論
第5章 「悪」の問題
第6章 すべての人が幸福を欲しているか?
第7章 トマスの政治哲学―「共通善」の復権

著者等紹介

稲垣良典[イナガキリョウスケ]
1928年生まれ。東京大学文学部卒業。南山大学、九州大学、福岡女学院大学教授を経て、長崎純心大学大学院教授。専門は哲学、法哲学。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

75
キリスト教についての研究書。平易な文章なので、読みやすいのですが、内容はかなり難しく感じました。神とは何かという点から始まり、キリスト教の根源の深いところまで洞察が及ぶので、かなり深くトマスと『神学大全』に関わってきたのが見てとれます。哲学的且つ神学的なので、背景を知らないと 、理解するのはかなり困難ですね。それでも、このような形で『神学大全』の思想に触れることができるのは有益です。そのうちトマス・アクィナスの『神学大全』そのものを読んでみたいと思いました。2016/11/13

マウリツィウス

19
【THEOLOGICA】『神学大全』構築におけるアクィナス諸考察。大全確立以前における中世文化史が背景となり、スコラ学とは本来記号論ではなくキリスト権威の十分補充を可能とした体系論を指す。従ってアクィナスの判断は多神教的ヴィジョンではなく神=主による汎神論含有と名付けるべきだろう。《聖書》を普遍的書物に見据えた記号論理学の出現を予期していた神学像は文学的ではなく虚構的、従来思想分類に該当せず実際は現実世界を反転させることで《天使》位置を明確化していった。『大全』大著理由は更新されるべき課題と結論を呈する。2013/06/20

左手爆弾

4
トマス研究の大家による概説書。文章は極めて明晰で、非常に読みやすい。にもかかわらず、極めて内容は高度。一文ごとに筆者の長年の研究が凝縮されているように感じる。トマスにおいては神学と哲学は安易に調和せず、常に緊張感を孕みながら共存する。ただし、神学の最後の段階では信仰そのものが関わる。例えば「無からの創造」を単に哲学によってのみ解することはできない。また、人間の正義については、有限者たる人間が常に旅の途上にあるというイメージを好む。ただし、旅の「目的」が直ちにアリストテレスと同一視されるわけではない。2015/10/11

taming_sfc

2
稲垣良典先生による2009年の著作。トマス・アクィナスの神学大全を手がかりとして、トマスの世界観を稲垣先生ならではの整理された叙述で述べていく一冊。神、ペルソナ、創造、悪、幸福、政治哲学と、かなりはっきりとテーマ別に各章が校正されており、それぞれの章で主に神学大全に基づきつつも、それ以外のトマスの著作をも参照してトマスの世界観を展開する。特に第7章のトマスの政治哲学は必読。とにかく、簡易にして明快な記述に脱帽の一冊である。2010/12/06

Jack Amano

1
いきなり大著の「神学大全」に取り組むのに躊躇したので、神学大全をベースにトマス・アクィナスの思想を解説してくれているこの本を読みました。著者の視点からの見方ではありますが、全体像の把握はおおむね出来たかと思います。これをベースに「神学大全」そのものにもいつかは取り組むかな(?)2021/02/01

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