内容説明
柳田國男、保田與重郎、折口信夫。国学の系譜につらなる三人の思想をあらためて検証し、戦時にあって彼らが見いだそうとした「可能性」のかたちに迫る力作―。ひとしく人間の“弱さ”の復権を期し、それぞれに「共同体」を志向した彼らの試みから見えてくるものとは。
目次
序章(国学の思想;沖縄論)
第1章 柳田國男の思想(郷土研究と国家;公民形成の学としての民俗学;国家と家郷;柳田と地方文化運動;『先祖の話』)
第2章 保田與重郎の思想(青春の復権と日本浪曼派の成立;言霊論;天皇論;思想の変容;国学論;イロニーと近代的自我の隘路)
第3章 折口信夫の思想(源氏物語と“弱さ”;まれびと論;「たをやめぶり」の尊重;天皇論;神道と国学論;神道普遍宗教化論;親密圏と近代国学)
終章(近代国学における親密圏の位相;近代国学の意義)
著者等紹介
石川公彌子[イシカワクミコ]
1976年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科総合法政専攻博士課程修了。博士(法学)。専門は、日本政治思想史。現在、東京大学大学院人文社会系研究科グローバルCOE「死生学の展開と組織化」特任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
2
一言で乱暴に言ってしまうと「”強い”国家よりも、”弱い”個人を肯定する思想」として柳田國男、保田與重郎、折口信夫の三者を説く本だと思います。2013/04/24
ロータス
1
読了して国学に意義があった時代は終わったのではないかと感じた。天皇、国体、神道、そういった日本を象徴してきたものも今や単なる飾り物となり、誰も本気でそれを敬ってはいない。自称保守派や自称愛国主義者が「天皇は左翼」「天皇は反日」などと言い放つようになったこの国を見て、もし三人の国学者が生きていたら何を思うだろうか。2021/02/09
ygreko
0
→『フラジャイル』、1510夜2013/06/27
tkm66
0
ざあっと。確か。2009/10/08