内容説明
「崇高」とは何か?十八世紀にアイルランド人思想化エドマンド・バークによって静態的な「美」に対置する美的カテゴリーとして規定され、カントによって哲学的に厳密な概念として確立された「崇高」という概念は、ヒロシマの惨劇に象徴される、テクノロジー社会と人間という現代の大きな問題を考え直す思考として生まれ変わる。「なんの変哲もない石ころ」への凝視から始まる、美学の新たな可能性。
目次
序論 石ころへのオマージュ
第1章 「崇高」とは何か(「崇高」という語の起源から;バークまでの崇高美学の歴史―修辞学から新しい大地の美学へ)
第2章 崇高美学の体系化―バークからカント、そして現代へ(バークの「崇高」概念;バークからカント―『判断力批判』の意義とその限界;カントからふたたびバークへ―現代崇高論との交叉点)
第3章 山と大地の「崇高」―カントの人倫的崇高を迂回する道(ジンメルによる山岳美学と崇高―造形芸術および廃墟との比較;ラスキン『近代画家論』にみる地質的美学;「地」を愉しむ「渓歩き」へ)
第4章 アメリカ的崇高と原爆のヒロシマ―自然vs.技術(「アメリカ的崇高」と現代テクノロジー社会の帰趨;アメリカン・テクノロジーの帰結、あるいはヒロシマの出来)
著者等紹介
桑島秀樹[クワジマヒデキ]
1970年群馬県渋川市生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、広島大学大学院総合科学研究科准教授。専攻は美学・芸術学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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