講談社選書メチエ
崇高の美学

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062584135
  • NDC分類 701.1
  • Cコード C0310

内容説明

「崇高」とは何か?十八世紀にアイルランド人思想化エドマンド・バークによって静態的な「美」に対置する美的カテゴリーとして規定され、カントによって哲学的に厳密な概念として確立された「崇高」という概念は、ヒロシマの惨劇に象徴される、テクノロジー社会と人間という現代の大きな問題を考え直す思考として生まれ変わる。「なんの変哲もない石ころ」への凝視から始まる、美学の新たな可能性。

目次

序論 石ころへのオマージュ
第1章 「崇高」とは何か(「崇高」という語の起源から;バークまでの崇高美学の歴史―修辞学から新しい大地の美学へ)
第2章 崇高美学の体系化―バークからカント、そして現代へ(バークの「崇高」概念;バークからカント―『判断力批判』の意義とその限界;カントからふたたびバークへ―現代崇高論との交叉点)
第3章 山と大地の「崇高」―カントの人倫的崇高を迂回する道(ジンメルによる山岳美学と崇高―造形芸術および廃墟との比較;ラスキン『近代画家論』にみる地質的美学;「地」を愉しむ「渓歩き」へ)
第4章 アメリカ的崇高と原爆のヒロシマ―自然vs.技術(「アメリカ的崇高」と現代テクノロジー社会の帰趨;アメリカン・テクノロジーの帰結、あるいはヒロシマの出来)

著者等紹介

桑島秀樹[クワジマヒデキ]
1970年群馬県渋川市生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、広島大学大学院総合科学研究科准教授。専攻は美学・芸術学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kthyk

15
18世紀、カントの「コペルニクス的転回」により、美は神から自律、芸術が誕生したことは良く知られている。カントと同時期、アイルランドのエドマンド・バークは古典的静態的「美」に変わり激しい心情変化をともなうダイナミックな精神的高揚感を「崇高」とし、美学的・感性論(エステティック)の一端に位置付けた。しかし、このままでは所謂ロマン主義の一環。この書は鋭い、「崇高」が持つ「表象不可能性」をアート化し、テクノ=サイエンス時代の自己存在位置の診断装置と位置づけている。それも古代の「天」に変わり「地」をモチーフとして。2021/07/20

ひろ

4
バーグとカントの部分は、今まで分からなかったところが少し見えてきた気がして参考になった。でも始めの石ころの話がつまらなくて、挫折しそうになった。2014/08/01

Rei Kagitani

0
崇高論の概説としては薄い気がしたが、最後のアメリカ崇高論とヒロシマ論は興味深い内容だった2015/11/30

ホンドテン

0
図書館で。2011/11/11

ra0_0in

0
ジンメルとラスキンを扱いながら山岳紀行文の変遷と崇高の問題を論じた章はとても面白いが、その他の章ではどうも踏み込みの甘さが目立った。例えば、フランス革命への反動的態度がバークの崇高論とどう関わるのか、カントの崇高がヒューマニズムへと回収されてしまうのはなぜなのか、といった重要な問題が、リオタールの言説に安易に依拠することで棚上げになっている。それはとりわけ、現代的問題を扱った後半部に顕著で、そこでは崇高は表象不可能性の無意味な言い換えに終わっている。どうも美学系の人は、ニューアカ的な術語の乱用に逃げがち。2014/04/14

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