内容説明
仏教の中核思想「空」とは何か。自己否定とそれを通してのよみがえりという「空」の実践のプロセスから、実践行為としての仏教の本質を考究する、碩学渾身の思考。
目次
第1章 空の実践
第2章 空と縁起
第3章 空性と自性
第4章 行く人は行くか
第5章 言葉を超える
第6章 『般若心経』における空
第7章 空の実践と真言
第8章 空の実践と三身仏
第9章 実践の行程―井上円了のパラダイム
第10章 よみがえる世界―空海におけるマンダラ
第11章 空の実践の二方向
著者等紹介
立川武蔵[タチカワムサシ]
1942年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部博士課程中退、ハーバード大学大学院にてPh.D取得。国立民族学博物館名誉教授、愛知学院大学文学部教授。専門は仏教学、インド学。『中論の思想』(法蔵館、中日文化賞)、『女神たちのインド』(せりか書房、アジア・太平洋賞)など多数の著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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阿呆った(旧・ことうら)
13
< 行く人は、行かない >龍樹の空の思想。その後の法相宗、天台宗、華厳宗、真言宗などの違いを図も交えて説明しているので、わかりやすい。2015/09/04
Go Extreme
1
空の実践:ABC三点の図・展開 空と縁起:業と煩悩 空と虚無 空性と自性:自在のあり方・4パターン 言葉と実践の行程 論理と空 行く人は行くか 言葉を超える 『般若心経』における空:迷いは悟りである 空の実践と真言:色から空へ・空から色へ 日本人と空 空の実践と三身仏 実践の行程―井上円了のパラダイム よみがえる世界―空海におけるマンダラ 空の実践の二方向:人間中心主義に抗して2021/11/22
春車
1
空の意義は縁起を知り、実践すること。実践してなんぼのもの、ということのよう。良書です。2019/02/19
牛タン
1
5巻シリーズの第4巻。前巻までの仏教の世界観と目的を踏まえた上で、仏教の実践について語る。が、今までの中で一番意味がわからなかった。2つだけわかったかな?というのは、実践においては因(俗なるもの)から果(聖なるもの)に向かう方向と、その逆があり、それぞれ顕教と密教の典型的な修行方法であること、もう1つは事物の性質として自性と非自性的な性質というものがあり、それらのいずれも非実在である(=空?)であると考える龍樹や中観派、いずれも実在と考える仏教論理学派、非自性的性質のみが実在と考える唯識派などがいること。2018/09/01
thuzsta
1
実践の中にしか見いだせない空2010/12/22