講談社選書メチエ
日中戦争下の日本

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062583923
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0321

内容説明

自由主義から全体主義へ。国際協調から地域主義へ。一九三〇年代、社会システムの不調から生じた日中戦争。なぜ政党への期待が大政翼賛会を生んだのか?労働者や農民たちは戦争に何を託したのか?戦時下日本の知られざる「自画像」を明かす。

目次

1章 兵士たちの見た銃後(銃後の退廃;慰問袋のゆくえ;祖国の再興を求めて)
2章 戦場のデモクラシー(他者理解の視点;立ち上がる「文化戦士」たち;新しい文化の創造)
3章 戦場から国家を改造する(文化工作による国家の改造;政党政治への期待;社会的な底辺の拡大)
4章 失われた可能性(デモクラシーとしての大政翼賛会;大政翼賛会の現実;日中戦争の末路)
5章 「神の国」の滅亡(日本主義の盛衰;「神の国」のモラル;戦争のなかの戦後)

著者等紹介

井上寿一[イノウエトシカズ]
1956年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。同大学大学院法学研究科博士課程、同大学法学部助手などを経て、学習院大学法学部教授。法学博士。専攻は日本政治外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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きいち

24
昭和10年代はやはり、今を考えるうえで鍵になる時代だ。目のウロコは何枚落としても足りないけど、また一枚、綺麗に剥ぎ落してくれた。◇拡大し続けた格差に対し、戦時経済はその歯車を逆回転させることに成功する。公益性は全体主義、大政翼賛会の側にあり(そういえば水平社の松本は翼賛会側だ)、小作農民、都市の労働者、持たざる者の地位ははっきりと上昇していく。国民は決して騙されていたわけではなく、ちゃんと考えてこの道を支持したのだ。◇戦後の改革とその後の発展、我々が今享受する豊かさの基礎も、はっきりとこの延長線上にある。2014/12/21

Masakazu Fujino

9
神保町の古書店で見つけ購入。なかなか良い本で勉強になりました。戦場のデモクラシー、戦後の社会運動の高揚へのつながりなど、戦前・戦後と分けるのではなく、その連続性と問題点を押さえることの重要性を感じる。2020/10/07

バルジ

4
日中戦争という「総力戦」を機に変容した社会構造を当時の政局を混ぜ込み論ずる。最後の著者の主張はやや強引だが戦争で変容する人々の意識と、それらに対応せんとする統治機構の相剋が非常に面白い。大義なき戦争に駆り出された兵士達は戦争目的に疑問を感じつつ、作り出された理想のために戦地だけでなく内地の社会構造改革をも意識する。その姿はまさに戦後へと続く「主権者」の創造過程にも見える。本書で語られる侵略戦争戦下の銃後社会は現代人にとっても身近に感じられ、果たして現在のロシアは如何なる状況か、気になるところである。2022/08/24

ロッキーのパパ

4
タイトルに日中戦争とあり、盧溝橋事件から東條内閣の出現ぐらいまでを対象にしていると思ったら、太平洋戦争期までを扱っている。日中戦争の初期には遠征兵士が高いモラルを持っており、現地で文化的活動の推進の必要性を認識していることが興味深かった。これが後期に入るとモラルダウンしていく理由が示されていないのが残念だ。2010/11/02

なっく

3
日中戦争=軍部の暴走としか捉えていなかった私にとっては、数多くの新しい真実を発見する書でありました。 特に、初期においては労働者や農民を中心に、日本的思想を押し付けるのではなく、なんとか文化的同化を目指そうとした人もいたことは大きな驚きでした。 アメリカにはベトナム戦争を反省する書物や映画がたくさんあるのに、日本に日中戦争を反省する書物や映画がほとんどないのは何故なんでしょう? 数多くの犠牲を無駄にしないためにも、日本はもっとアジアに目を向ける姿勢が必要ですね。2008/06/24

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