内容説明
ミシシッピはアメリカという林檎を貫く「芯」である。ニューオーリンズの情熱的なクレオール文化。デルタの苛酷な環境が生んだブルース。公民権運動の舞台メンフィス。NYや西海岸を見てもわからない、アメリカの歴史と文化の本質を探る四〇〇〇キロ縦断の旅。
目次
第1章 ミシシッピ七つの道
第2章 川がはぐくんだ文化―河口からニューオーリンズへ
第3章 デルタをゆく
第4章 ミシシッピとマーク・トウェイン―セントルイスからハンニバルへ
第5章 ミシシッピから歴史が見える―ノーヴーから四つ子都市まで
第6章 源流へ
著者等紹介
バーダマン,ジェームス・M.[バーダマン,ジェームスM.][Vardaman,James M.]
1947年アメリカ・テネシー州生まれ。ハワイ大学大学院修了。早稲田大学文学部教授。専攻は英文学、アメリカ南部の歴史と文化
井出野浩貴[イデノヒロタカ]
1965年生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業
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感想・レビュー
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k.m.joe
9
著者曰く、アメリカ東海岸と西海岸は話題に上る事が多いが、ミシシッピ川周辺で起こった事柄もアメリカ史を語る上で重要である。むしろ「アメリカの心臓部」と呼ぶべき地域であると。 流域面積でいけば、アマゾン川、コンゴ川に次ぐ世界第三位のミシシッピ川は、曲がりくねりの厳しい部分があったり、川底の深さもまちまちだったりする難敵である。探検の時代から、水上交通に必要な船の研究、橋の建設などの開発史から話は始まる。 次に、ジャズの発祥地ニューオーリンズや、ブルースの重要地域であるデルタ地帯を詳説。 2020/07/04
志村真幸
2
James M. Vardamanは、早稲田大学でアメリカ南部の歴史や文化を教えていた研究者。 本書は、アメリカの歴史や文化のなかでミシシッピがどのような役割を演じてきたかを、さまざまな側面から語ったもの。 インディアンたちとの関わり、南北戦争の舞台として、外輪船の航行、マーク・トウェイン、リンカーン、キング牧師、ケイジャン料理、ナマズ、プレスリー、黒人音楽家たち、モルモン教などなど。 しかし、散漫な印象はなく、堂々と幅広く、アメリカというものが見えてくる。さすがミシシッピだ。 2018/11/23
takao
1
ふむ2020/10/25
kazewataru
1
東西海岸だけがアメリカではない。ミシシッピこそアメリカ合衆国の源流そのものである、との視点で描かれている。そこには日本人が思っている以上にフランスの影響が見られ、クレオールやケイジャンといったフランス文化に端を発する文化が今も息づいていることが、私には新鮮に映った。そしてアメリカの負の歴史、先住民追放と黒人奴隷使役が魔の両輪として作用していることも、著者は率直に描き出している。祖国に対する複雑な感情が見て取れる良書でした。2013/05/22
荒川ながれ
0
アメリカの歴史そのものだった。綿花・奴隷・インディアン・黒人・エルビス・南北戦争・蒸気船・トムソーヤ・大草原の小さな家2011/09/21