内容説明
一六一三年ミハイル選出から一九一七年ニコライ退位に到るまで十九人を数える君主の家系はいかに継がれていったのか。西欧派・ピョートル大帝やパリに入城したアレクサンドル、女帝の世紀の啓蒙君主・エカテリーナなどの事績を追い、強い君主を希求するロシアの民衆とツァーリ一族の三百年を描く。
目次
第1章 ロマノフ王朝の誕生―一六一三‐一六八九年
第2章 ピョートル大帝のロシア―一六八九‐一七二五年
第3章 宮廷革命と「女帝の世紀」―一七二五‐一八〇一年
第4章 専制の危機と対応―一八〇一‐一八五六年
第5章 解放皇帝とその挫折―一八五六‐一八九四年
第6章 最後の皇帝ニコライ二世の時代―一八九四‐一九一七年
著者等紹介
土肥恒之[ドヒツネユキ]
1947年、北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専攻はロシア社会史
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感想・レビュー
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遊未
8
ミハイル・ロマノフからニコライ二世まで300年。ツァーリ個人のこと、家庭内から思想、政策、国内外の状況と網羅されています。さらっと流してあるという内容ですが、ヨーロッパ諸国と異なる状況、異なったままでいようとした状況がよくわかります。血友病のため9歳で抱っこされてパレードしていた最後の皇太子アレクセイ。この写真は初めてですが、悲劇的な血縁結婚でした。2021/09/12
Haruka Fukuhara
8
女帝が多い。ピョートルは本当に面白い人だったけど、存在が大きすぎて功罪相半ばするところもあるのかな。そして彼に正統な後継者がいなかったことがその後の混乱の最大の原因ともいえそう。2017/06/26
Toska
7
同じ著者の『ロマノフ王朝の大地』と重なる部分も多いが、あちらがロシアの通史寄りであるのに対し、本書は個々の皇帝の解像度が高く、良質な王朝史に仕上がっている。ロマノフ家の皆さんはとにかく真面目で、政治的な課題もよく理解し、真剣に取り組んでいた。ただ、専制でなければ統治できないとの観念で自縄自縛となり、結局は全てが失われた。あれだけ権力を持ってても、好き勝手して楽しそうな印象が全くないんだものなあ…2023/11/25
Kanbukyoukou
1
イワン雷帝後のロシア動乱時代は本当にカオスで、そのままスウェーデンやポーランドに蹂躙されて終わるかと思いきや、危機を克服した後は逆にウクライナや中央アジアを飲み込んで巨大化し、ついにはヨーロッパ、全世界にに大きな影を落とすまでになった帝政ロシア=ロマノフ王朝の歴史は、実は300年ちょいだったりするんだなぁ。2015/11/19