内容説明
王はいかにして王たりうるのか?王の支配力の源泉は、物理的暴力ではなく、技巧に満ちた「形式とこけおどし」のなかにこそある。ルイ十三、十四世時代の絶対王権がいかにして超越性を維持しえたのか、緻密で大げさな「儀礼」を分析し、位階秩序再生産の機構を検証。
目次
序章 呪術師の王
第1章 王を構築するシステム
第2章 リ・ド・ジュスティス=正義の寝台
第3章 ランス=王を聖別する都市
第4章 王は限りなく聖職者・呪術師に近づく
第5章 国家儀礼の理論
著者等紹介
今村真介[イマムラシンスケ]
1971年、東京都生まれ。上智大学法学部法律学科卒業。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程に在籍。近世フランス史を専攻し、絶対主義時代における王権とヒエラルヒー秩序再生産の構造を研究
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感想・レビュー
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富士さん
3
再読。君主制こそ国家の成立要件だと言わんばかりで、他の政体の歴史的な意義が一段低められており、しかもそのことに対する説明がない。儀式の図像学的解釈が政治上のものにとどまっていて、当然想起されるべき神秘主義的な側面と制度上の規則に基づいた手続きの側面への言及がない。社会学的な蓄積がほとんど利用されておらず、言及もない。など、何か足りてない、“おしい”本です。しかし、逆に言うと聞きなれている社会学でない方法で支配がなぜ成立するかについての説明を組み上げられているのは斬新で、粗削りのような魅力を感じます。2016/06/19
Ohe Hiroyuki
2
フランスの王政はなぜ成立したのか?という点につき、「修辞学」という切り口で説いた一冊▼王の儀式が長く、荘厳なのはどうしてなのか。法廷の儀式と王の入市式を例に著者が具体的に説明している。▼本書は通史ではないが、「なぜ、王は王たりえるのか?」もしくは「王は王としてもてなされるのか?」を考える良いきっかけになる。信仰を前に、いかに権威が築き上げられてきたかを考えられる一冊である。2019/12/04
水蛇
1
観念的存在者の「王」がいかに表象を駆使して暴力を潜在力へ、権力へと変換させていくかを国家儀礼から読み解いていく。すごくわかりやすいけど、わかりやすさを保つために視野を狭くせざるを得なくなってる観はある。君主制以外の制度との比較がないこととか、ところどころ結論ありきで展開していくこととか。かと思うとリ・ド・ジュスティスの記述は何度も同じところをなぞるようで冗長だったり。でも学術書じゃないし入門としてはけっこういい本だと思う。ヴェルサイユに行ったとき、権力の誇示に全振りしててとっても興味ぶかかったな。
space shatoru
0
抽象的な単語が多かったので、2度読みすることがあった。 王権が発動するためのメカニズムやその起源は何なのかを具体的な構造物や儀礼行為に即して解明していた。2014/05/13