内容説明
具体的なテクストから予期しない、おもしろい解釈が生まれる―。読者反応論からニュー・ヒストリシズムまで、「読む」という行為を追究した批評理論の各々の魅力を、実践を通してわかりやすく紹介。文科系学生必携の一冊。
目次
第1部 読者・テクスト・作者(読むこともまた創造である―批評理論とはなにか;「読み手」のあなたへ―読者反応論;テクストの無意識はどこにある―精神分析批評;空虚な中心への旅―脱構築批評)
第2部 階級・性差・人種(不可視の階級闘争をあぶり出せ―マルクス主義批評;「女」はもはや存在しない?―フェミニズム批評;悲しきシェイクスピア―ポストコロニアル批評;つねに歴史化せよ―ニュー・ヒストリシズム)
著者等紹介
丹治愛[タンジアイ]
1953年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科(言語情報科学専攻)教授。専門は英文学・文化研究
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
12
英米文学系の(テリー・イーグルトンとかのマルクス主義批評、それから派生した政治的、フェミニズム的批評)批評理論について整理できる。巻末にそれぞれの項目についての参考文献が、簡単な紹介とともに載っているので、勉強の見通しを立てるのにとても便利。冒頭の丹治氏による批評の歴史の見取り図は、何度でも読み返す価値がありそう。その後、多くの研究者により、具体的な文学作品(後半は文学作品すら出なくなるが)を例にとりながら批評の実践。仏文学徒的観点から見ると、二部の英米的政治的批評の生成の流れがわかって、とても勉強になる2023/02/28
NICK
5
今まで読んだ批評理論概説書はちょっと古いものだったのかな、とも思われる新鮮な内容だった。個人的には「脱構築批評は80年代に力を失った」というグサリとくる記述やポスコロ、ニューヒストリシズムなど新たに知ることが多分にあり、興味深いものだった。理論ごとに概要と実践を論じる形式になっていて、実際のところどういう批評なの、という疑問にも答えてくれる優良な入門書。2010/07/08
s_mirai
5
『唯野教授』以降を扱ってる感じがあるので、併せて読むといいかもしれない。基本的には要点をまとめてわかりやすく解説してあるので、勉強のために手元に置いておきたい一冊。理解が追いつかないところも多々あったので、この辺りは今後復習したい。ブックガイドも親切で、ここから理論の世界に踏み出せる感じ。2010/07/04
viola
5
文学の専門家でもニガテな人の多い・・・・らしい分野の批評理論。(それを聞いて少し安心・・) 論文なんだけれど若干エッセイぽくなっている部分もあったりして、この分野としてはかなり読みやすいです。それでもかなり難易度高いですが。 なんと言っても巻末の読書案内は特筆すべきものがあります。この中から幾つか読んでみる予定。2010/02/21
★★★★★
5
構造主義以降は世界そのものが読み取るべきテクストとなったわけだから、批評理論が知の震源になるのは良く考えたら当然ですよね。「脱構築」などの良く知られた概念を改めて解説したあと、実際のテクストに対してそれを適用してみせる構成の本書は、なかなか面白いものでした。2009/04/23