内容説明
三平方定理の発見者とされるピュタゴラス。数々の奇行が伝えられる哲学者は、イタリア半島南端に秘密の教団を主宰し、「数は万物の原理である」ことを看破した。プラトン、アリストテレスに刺激を与え、哲学の地下水脈となった謎の思考に迫る。
目次
第1章 ギリシャでいちばんユニークだった哲学者(古代ギリシャの哲学者群;エンペドクレスの活躍 ほか)
第2章 同時代人の見たピュタゴラス(ピュタゴラスと「ピュタゴラスの定理」;同時代人の証言 ほか)
第3章 ピュタゴラスをソクラテスに語らせるプラトン(プラトンの描くソクラテスの変節;ピュタゴラス的言葉を使って語るソクラテス ほか)
第4章 アリストテレスが映した奇行と奇妙な戒律(アリストテレスとピュタゴラス;プラトン説に反論するアリストテレス ほか)
第5章 思考の地下水脈となったピュタゴラス(プラトンからプロティノスへ;プロティノスの魂論 ほか)
著者等紹介
左近司祥子[サコンジサチコ]
東京大学文学部哲学科卒業。現在、学習院大学文学部哲学科教授。ギリシャ哲学専攻
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感想・レビュー
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nbhd
13
ヘンテコキャラが続々登場して楽しい。ピュタゴラスをダシにして、古代ギリシャ世界とそこに生きる真剣でおかしな人たちを語った本。モスト・ヘンテコエピソードは、ピュタゴラスの弟子・エンペドクレスの逸話だ。この弟子は「自分が神であることを証明するため、火山の火口に飛び込んだ」のだが、神としての復活はかなわず、火口から噴き上げたのは、彼の履いていたサンダルだけだった、という。ダイナミックなコントだ。ギリシャの人たちはヘンな人ばかりだけど、魂とか死生観とか、いろいろ真剣に考えていて、そこはけっこう侮れないところだ。2016/04/10
ma_non_troppo
1
ギリシアの哲学史を平易な文章でさらりと辿っているので、ギリシア哲学の入門書として読んでみるのもいいかもしれない。新プラトン主義――とくにプロティノスについてもけっこうなスペースを割いてまとめてあり、個人的には大変興味深かった。肝心のピュタゴラスについては、例のディオゲネス『ギリシア哲学者列伝』を読むだけで十分な気もする。とにかく、全体的に易しい文章でまとめられている点に好感を持った。本当に頭のいい人は難しいことを簡単に説明してくれる。著者についてはよく知らないけれど、とても読みやすい一冊でしたと伝えたい。2013/04/13
鑑真@本の虫
0
哲学書としては、入門編の印象。資料が少なく、その人物像を伺うことが難しいピュタゴラスを知る上では、とても読みやすく、情報量も多いと思う。かなりのページを割いて、プラトン・ネオプラトンについても述べており、読み応えのある一冊。2013/07/24
たぬき
0
モヤモヤ2011/08/15
戸塚こだま
0
ピュタゴラスについて言及のある文献を丁寧に解説。数字の神秘みたいなアレがあまり出てこないけど、どうなんだろう2010/08/05