内容説明
江戸の大名達が競って造った大庭園―後楽園、六義園、浴恩園…。それらは京の庭園をしのぐ造形をもった「社交」と「儀礼」の装置であった。本書は初めて「大名庭園」の真実の姿に迫り、京都一辺倒の日本庭園史をくつがえす。
目次
第1章 茶の儀礼を越えて―大名庭園の成立
第2章 山海の佳景―江戸の大名庭園
第3章 政事と遊事の秘園
第4章 饗宴の庭―大名たちの社交
第5章 庭園は江戸にあり
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にがうり
4
図書館本。 2019/08/25
日暮里の首領様
0
「回遊式庭園」と分類されがちな大名庭園。しかし本来、大名庭園は「回遊」という鑑賞的な行為からだけでは捉え切れない、動的な饗宴やレジャーの場であった。「回遊」という鑑賞を旨とする庭園観が生まれたのは、下級武士・文人たちによる大名庭園「拝見」の思想が、江戸後期に通俗化したからであったという…。 /京風の禅庭や桂離宮なんぞを理想とする「石庭の理想」や「王朝風の理想」、これは近代に出来た日本庭園のイメージであり、そこには鑑賞を旨とする庭園観があった。そこに来てレジャー的な自然主義庭園を拵えた山縣というのは…2012/11/28
Koki Miyachi
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大名庭園を詳説した数少ない一冊。その成立の歴史、小石川後楽園をはじめ江戸の大名庭園の解説、西洋のバロック庭園との比較など多面的に論じられている。ただ全般的に論点が散漫で、文献からの類推や引用、著者の仮説、歴史上の事実などが入り乱れ、論点を箇条書きにして整理することはとても出来そうもない感じで難儀した。もう少し論点が整理されたビジュアルな資料で大名庭園を理解する必要がありそうだ。2012/10/09
屋根裏の塩
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大名庭園を利用・機能面からみた一冊。2010/04/30