内容説明
電脳社会論、ポスト近代社会論、ハイパー産業社会論…。メディア社会の予言者たちが紡ぎだす、未来社会の夢また夢。「技術が社会を変革する」=技術決定論を脱構築し、「技術」と「社会」のダイナミックな対話をとおして、二一世紀社会を展望する。
目次
序章 「情報化」の時代―情報技術は何を変えるのか?
第1章 「情報化社会」とはなにか―社会の夢・夢の技術
第2章 グーテンベルクの銀河系/フォン・ノイマンの銀河系―人間‐コンピュータ系の近代
第3章 会社は電子メディアの夢を見る―ハイパー産業社会の企業組織
第4章 近代産業社会の欲望―「情報化」のインダストリー
第5章 超近代社会への扉―二一世紀近代と情報技術
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
minoguchi
3
「情報化社会論」かと思っていたら「『情報化社会論』論」(とそれを通じて描く近代産業社会論)だった。1993年だからインターネットをはじめとした状況が一昔前になってしまっているのは仕方ないにしても、敢えて今読まないでもよかったかも…。2008/12/15
ktytnd
2
情報社会論とは、実は近代産業社会論だったのだ、という身も蓋もない主張を納得できる論理で展開する。もう十年以上前に書かれた本だが、読めば現在の社会も近代産業社会の性質を持っているということに気づかされる。そして未来はどんどん良くなって行くという夢を抱き続ける限り、おそらく社会の仕組みは大幅に変わることはない、ということに直面させられる。筆者はなかなか性格が悪い(いい意味で)。2013/07/03
gerumanium
1
本書は「情報化社会論」が近代産業社会的な文脈において再帰的に選取し、その内在的な欲望を反映しているものにすぎず根拠のないものがいかに多いかを例証していく。その中で彼が取り上げるのは「情報社会論」に内在する技術決定論である。彼によると技術決定論は我々における「近代の欲望」を投影しているものでしかなく、実は社会の欲望が技術そのものに影響を与えるとしている。この他にも注目すべき点が散在するが字数の関係で割愛することにする。だが新たな「情報化社会論」が本書から得る事は多い。2010/02/17
パチ
1
「情報化社会論」論というのは分かった。でも問題はそこから先だ。「技術は社会が選ぶはず。→民主主義と産業資本主義のせいだろ」それは情報技術だけじゃない。「自分達が選んだはずのものからの逃避」いやいや、大衆が選ぶことのできないものだって、あるんだよ。それは技術哲学の基本。筆者は、「社会的なものに技術者が口を出すの」のを胡散臭く感じると同時に、「技術的なものに社会学者が口を出す」のを嫌悪して、あえて何も言ってないのかもしれない。「情報」って概念については結局一言も触れてないのが惜しい。でも卒論の参考になりました2010/01/25
H_AY
0
★22016/11/29