講談社選書メチエ
柳田国男と事件の記録

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062580403
  • NDC分類 380.1
  • Cコード C0330

内容説明

ある一家心中事件をめぐって生み出されたいくつかの言説。法の言説と新聞報道。「新四郎さ」そして「山に埋もれたる人生ある事」。事件の季節は入れ替わり、新たな動機が付与される。柳田はその独特の方法をもって何を語ろうとしたのだろうか。事実…。そしてその記録が描きだそうとした歴史の意識とは…。本書は、社会記述の方法をめぐるスリリングな論考である。

目次

第1章 抽象する視線
第2章 可視性の場
第3章 描かれた構図
第4章 事件の現場

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

iwasabi47

3
柳田国男に関する本にたびたび言及される本。柳田の文体・「語り」への分析と『山の人生』の有名な下り「山に埋もれたる人生」、同じ話とされる聞き書き金子貞二「新四郎さ」、それら該当事件の新聞記事を比較分析。事件そのものは「山の人生」という抽象でなく、『明治大正史世相編』のような話だと思う。 2020/06/28

shrzr

1
前半、タイトルとは裏腹に柳田国男の「語り」を問題にする抽象的な議論が続き読み進めることを躊躇するが、そのうち男が飢餓に耐えかねた子供二人を鉞で殺害するという「山の人生」の冒頭に記された悲惨かつ印象的な事件に関する議論へと移っていく。柳田の記述には同様の事件を語ったと考えられる他の資料と多くの異同があり、その分析を通して事実を記録するという行為の含意に迫ろうとする。2023/04/22

志村真幸

0
 柳田国男の「常民」は具体的・個別的なイメージを抱かれがちだが、実際には柳田には抽象的なレベルでの思考があったのではないかとのアイデアから、柳田の日本人像をあぶりだしていこうとしている。  『遠野物語』のディスクール分析、山人論における自然と文化の関係性、同時代の自然主義文学と柳田の文体の関係など、ちょっと思いもよらぬ角度から切りこんでいく点に新味とおもしろさがある。  ただ、それぞれに刺激的な議論ではあるものの、どこまで通用しているのか、いささか把握できかねるように感じた。2022/06/17

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