出版社内容情報
【内容紹介】
憤死した長屋王の執念か、つぎつぎと死んでいく藤原四兄弟。おびえる聖武天皇。時代は騒然としていた。中国文化へ憧れた王の「危険思想・左道」への熱狂なのか、藤原一族の謀略なのか。文人政治家の悲劇は数々の推測をよぶ。長屋王邸の発掘をふくむ多くの資料・文献から、奈良時代の精神を鮮やかに描きだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
長屋王失脚事件の背後にある奈良時代初期の宮中の状況を分析しながら、藤原家の暗躍、「左道」と呼ばれた呪術信仰、そして怨霊への畏れなどなど、多面的に書いている。著者は古代文学が専門なので、当時の流行である漢詩に残されている藤原氏や長屋王の心情、貴族達が非公式な政治の場として使っていた漢詩の文化サロンなどに着目している。この事件そのものの記録はとても少なく、謎めいているので、実像はよくわからないというのが本当のところか。2014/01/15
rinrinkimkim
3
本書で正倉院系読書はいったん終わりにしたいと思う。敵対する(した)不比等についても色々教えられました。不比等の歴史デビューは701年で判事としてだったとありました。そして藤原なんてのはあくまでも臣下であり新興の氏族と王は見下していた、と。その態度が未来の悲劇の大きな理由であったと思います。いつの時代にも繰り返される権力闘争。パワーゲーム。古代はそこに呪いや呪術が組み合わさり現代の私にはとても深く知りたいという欲求をくれます。あれ?まだ読みたいのかな?そごう・ヨーカドーも呪われた地で撤退だしねぇ。2019/11/08
mimm
1
長屋王よりもその事件の背景となる人物(藤原氏)や宗教等の解説(?)が多く、読みたかった方向性と違って個人的にはいまひとつ。資料としてはすごくいい感じ。2010/12/14
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