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内容説明
脳をだませば、脳がわかる、脳がわかれば、脳をだませる。バーチャルリアリティ技術の発達と、知覚心理学の研究によって脳はどのように情報を処理し、どのように「現実」を認識しているかがわかってきた。知覚心理学とバーチャルリアリティの最新の入門書。
目次
第1章 脳とバーチャルリアリティ
第2章 脳のだまし方(三次元の不思議;動かされる自分;音はどこから? ほか)
第3章 バーチャルリアリティ技術への応用(脳をだますための最新技術;空間を認知する;VRの心理療法への応用 ほか)
第4章 究極のバーチャルリアリティ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
18
11年前の本だが、ついにVR技術がPSVRなど高度な形で家庭単位でも普及しつつある今こそ、タイムリーな内容。人間の知覚する世界とは現実のありのままではなく、脳が再構成した世界であり、従ってそこには数々の錯覚を引き起こす穴がある。そうした脳騙しの技術とバーチャルリアリティの応用の可能性を解説したVR入門として手堅くまとまった本。ゲームで楽しいだけではなく、職業訓練や心理療法の可能性、そしてマトリックスの世界のような究極のVR世界まで、11年前とは思えないほど思いつくことはだいたい触れられていて読み応えがある2017/04/15
SAYA
2
VR空間を作る際に考慮すべき、人間の知覚特性を解説した本です。人間特性のほうに興味があったのですが、基本的事項がメインで、想像よりVR側に寄ってました。さらっと読めます。2018/07/13
Uzundk
2
現実の感覚とは脳が作り出したものだ。私達は物理的な刺激を脳内で知覚することで認識する、現実こそが最高の仮想現実とも言えるというのが面白いと思った。著書の中では視覚をだますことで平衡感覚を狂わせたり、電気的名刺激で本人の意思と無関係に進行方向が変わるなどの例も載っており、現実"感覚"というものが、思った以上に確かなもので無いことを教えてくれる。同時に芸術表現などがこれらの人間の認識の特徴にうまく適合するからこそ面白いのだなとも感じた。人間の知覚特性をもっと知りたくなる。2015/01/19
issy
2
我々が感じるリアリティは、五感による知覚に脳が何かしらの意味づけをした結果。その仕組みを利用して現実と同様の刺激臨場感を創出しようとするヴァーチャルリアリティ研究の幅広い取り組みが紹介されている。空間認知のためにどんな視覚情報がどう使われているか、あたりが興味深かった。「"THE MATRIX"でも良い?ダメ?」という問題提起は重い。今もしそうだとしてもわからない、という意味では、既に受け入れているのかも知れないから。2010/07/21
酔花
1
バーチャルリアリティを知覚心理学の側面から読み解いていく本。バーチャルリアリティ、すなわち仮想現実において、私たちはどのような仕組みによって、仮想を現実とみなしているのか。この本は私たちの知覚システムを丁寧に解説してから、バーチャルリアリティの話に入っていくので、バーチャルリアリティがどうやって脳を騙していくのかがよく分かるようになっている。精神の自由が奪われていたとしても、それが精神を満たすものならば受け入れてもいいのかもしれないという最後の一文が強烈。2012/05/29