内容説明
夏目漱石の「原稿料を本屋が延ばす如く君も家賃を延ばし給え」、島崎藤村の「お送り下さったものを毎朝の友として」、川端康成の「私は忘れますけど、あなたは覚えていてください」など、その手紙が書かれた背景を知り、楽しく読みながら書き方のコツがつかめる。菊池寛の「手紙の心得」、三島由紀夫の「レター教室」、貝原益軒の「書札の法」など雑学的知識も満載。
目次
第1章 情感を伝える挨拶の手紙(今年からウンと若くなるつもりです(サトウハチロー)
喪に服すべきはあなたであって(郷原宏) ほか)
第2章 強い思いを届ける手紙(?!(ビクトル・ユーゴー)
原稿料を本屋が延ばす如く君も家賃を延ばし給え(夏目漱石) ほか)
第3章 人生の一節を映す手紙(転居は家庭的旅行で少なくとも新鮮な換気法(北原白秋)
家内が男か女かカケをしようといい…(志賀直哉) ほか)
第4章 愛を語り別れを告げる手紙(あなた 南極越冬隊員の妻;僕のやっている商売は、今の日本で一番金にならない商売です(芥川龍之介) ほか)
第5章 作家たちの手紙の約束事と外す愉しみ(さまざまな手紙の作法;手紙の雑学 ほか)
著者等紹介
中川越[ナカガワエツ]
1954年、東京都に生まれる。中央大学文学部を卒業後、雑誌・書籍編集者を経て、執筆活動に入る
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感想・レビュー
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Jun Shino
3
「生きて面白い世の中とも思わないが、死んで面白い世の中とも思わない。僕も生きられるだけ生きる。君も一日も長く生きろ。」 芥川龍之介の、病を得た友人への手紙。芥川はカッコいい。 「労作 生涯いちど 報いられてよしと 客観的数字なる正確さ 一点うたがい申しませぬ 何卒 私に与えてください ・・困難の 一年でございました 死なずに 生きとおして来たことだけでも ほめて下さい」 太宰治が芥川賞をねだる手紙は、また太宰らしくヘタレである。手紙には、文豪の個性が宿る。なかなか面白かった。2020/04/01