内容説明
小児がんの治療をライフワークとする医師が、病気の子どもたちや家族との交流、医療の現場を描いた珠玉のエッセイ。「手間がかかる割に採算がとれない」とされる小児科の問題点や、子どもへの病名告知の是非、終末医療のあり方を問う一方で、進歩した白血病治療や、病気を克服するたくましい子どもたちの胸をうつエピソードも収載。
目次
1 生きることを子どもたちが教えてくれた
2 子どもたちはいつも未来へ向かう
3 病気の子どもと共に生きる人びと
4 忘れられない子どもたち
5 泣き虫な医者
6 番外編・二百人の子を背負って―四国歩き遍路の十日間
著者等紹介
細谷亮太[ホソヤリョウタ]
1948年、山形県に生まれる。東北大学医学部卒業後、聖路加国際病院小児科に勤務。小児がんの先端的治療の習得のため、テキサス大学総合がん研究所に、1977年から3年間赴任。聖路加国際病院小児科部長
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感想・レビュー
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ゆうゆうpanda
32
俳句の本、子供の世代に向けた本、そしてこの文庫本。三冊立て続けに読みました。いくつか同じ患者さんのエピソードがありましたが、読むたびにやはり涙が出てしまいました。一旦容態が良くなり寛解になった子が再発して亡くなってしまう。『できなかったこと』がどんなに辛いか考えると堪らなくなります。安らかな最期を迎えさせてあげるためにチームとなって取り組む姿に感動し、『できること』は子供一人一人違うのだと感じました。200人以上のそんな子の魂を背負って歩いた遍路。背負った医師も背負われた子も心が軽くなったと願いたいです。2016/01/08
貧家ピー
5
著者は、聖路加国際病院小児科部長 小児ガンの専門家。 子供や親へのまなざしがやさしい、といのうが印象的。 子供にも理解できる範囲でインフォームドコンセントを実施したり、亡くなった子供の葬式に参列・命日に家を訪れるなど、中々できることではない。 プロフェッショナル・アティチュード 「ーいくら泣いても騒いでもかまわないんですよ。 プロというのはそんな悲しみのあとでも、次の仕事のためにきちんとおいしく食事ができるような人のことを言うんです」2005/08/23
月華
4
図書館 2003年6月第1刷発行。2003年7月第2刷発行。1995年3月刊行本を、加筆修正。関わったこどもたちとのエピソードと歩き遍路。働き始めたときから温かい人柄がずっと変わらない先生だと思いました。2017/03/15
Humbaba
4
人の人生というのは,いつ終わるかわからない.普通に行けば子どもがこの世を去る前に親が先に去るのだが,それができるというのは,幸福なことでもある.人の死というものにずっと相対してきたからこそ,分かるものというものそこに存在する.2011/11/09
はるみみ
0
聖路加で働いてみたい。2013/01/19